WordPressをやめて独自サイトへ移行しました|Claude Codeでサイトを作り直した話
今回は、直接クリニックの開業や経営に関係する話題ではないのですが、当サイトの運営について少しご紹介してみようと思います。これまで当サイトはWordPressというシステムを使って運営してきました。しかし、長年利用していたテンプレートのサポートが終了したことをきっかけに、WordPressの使用をやめ、完全にオリジナルのサイトへ移行することにしました。以前から当サイトをご覧いただいている先生の中には、急にサイトの見た目が変わり、まるで別のサイトになったものの、掲載されている記事は以前と変わらないことにお気づきになった方もいらっしゃるかもしれません。
正直なところ、今回はClinic Tech Labで取り上げる方が適切な内容かもしれません。しかし、これまで当サイトをご覧いただいていた先生方の中には、突然サイトの見た目が変わったことに驚かれた方もいらっしゃると思いますので、あえてこちらでご紹介することにしました。なぜこのような変更を行ったのか、そして実際にどのように移行したのかについて、私自身の経験をお伝えしたいと思います。
そもそもホームページを自作し始めたきっかけ
そもそも私がホームページを作り始めたきっかけは、自分のクリニックを開業するにあたって、ホームページが必要になったことでした。このあたりの経緯は以前にもご紹介したことがありますが(参考記事:ホームページは自作する、ホームページの作成、運用について)、私はもともとパソコンが得意な人間ではありません。ホームページを制作した経験もなければ、プログラミングに精通していたわけでもありませんでした。当時の私がパソコンでできることといえば、電子カルテで診療記録を作成したり、処方や検査のオーダーを入力したり、Amazonで買い物をしたりする程度でした。パソコンの設定についてもほとんど知識がなく、本当に素人同然だったと思います。
しかし、クリニックを開業するとなれば、ホームページはほぼ必須です。特に当院のように、Web予約を中心に診療を行うクリニックでは、ホームページがなければ患者さんが受診することすら難しくなってしまいます。一方で、制作会社にホームページを依頼すると、かなりの費用がかかります。医療機関向けのホームページ制作では、初期費用が40万〜50万円、さらに管理費用が月額3万円といった料金も珍しくありません。通常の店舗と比較して、医療機関というだけで費用が高く設定されているように感じることもあります。しかも、一度制作して終わりではなく、ちょっとした更新や修正のたびに追加料金が発生することもあります。開業時の限られた資金の中で、ホームページにそこまで費用をかける余裕はありませんでした。
そこで、もう自分で作るしかないと腹をくくり、開業のおよそ半年前からホームページの制作を始めました。とはいえ、当時は現在のような生成AIもありませんでしたし、何から始めればよいのかも全くわかりません。Googleで調べながら試行錯誤しているうちに、どうやらWordPressというシステムを使えば、専門的な知識がなくても比較的簡単にホームページを作れることがわかりました。さらに、医療機関向けのテンプレートも販売されており、私の場合は「CURE(キュア)」というテンプレートを購入して利用することにしました。
もちろん、テンプレートを購入したからといって、すぐにホームページが完成するわけではありません。本当に何もわからない状態からのスタートでしたので、かなり四苦八苦しました。当時は主に当直の夜間など、時間に余裕があるときに少しずつ作業を進めていました。最初はGoogle検索に表示されないといった問題もありましたが、何度も調べながら修正を繰り返し、何とか形にすることができました。そのようにして完成したのが、現在も運営している当院のホームページです。
情報発信サイトでもWordPressを使ってきた
その後、クリニックの運営とは別に、マイクロ法人でも新たな事業を行う必要が生じました(参考記事:マイクロ法人の活用、開業医とマイクロ法人)。実際に事業になるかどうかはわからないものの、せっかくホームページを立ち上げた経験があるのだから、まずは自分で情報発信をしてみようと考えたわけです。そこで立ち上げたのが、医師の転職に関する情報を発信するサイトや、当サイトのように開業医としての経験を共有するサイトでした。
こちらも当然、WordPressを利用していました。ただし、クリニックのホームページとは異なり、情報発信サイトでは次々に記事を投稿していくことになります。そのため、医療機関向けのテンプレートでは使い勝手が悪く、別のテンプレートを探すことにしました。そこで選んだのが「賢威(けんい)」というWordPressのテンプレートです。国内では非常に知名度が高く、SEO対策などでも知られていたテンプレートです。実際、賢威は非常に使いやすく、記事を次々に投稿するようなサイトには適していました。私も特に不満を感じることなく、長年利用してきました。
ところが、2025年に状況が変わりました。賢威の新規販売が終了し、同年12月26日をもってテンプレートの更新やサポートも終了することが発表されたのです。もちろん、更新が終了したからといって、すぐにホームページが使えなくなるわけではありません。しかし、WordPressやPHPは継続的に更新されていくため、テンプレートだけが古いまま残されることには、セキュリティや互換性の面で懸念があります。私もいずれは別のテンプレートに移行しなければならないと考えていたのですが、他の仕事も忙しく、なかなか手をつけられずにいました。ただ、企業へのサイバー攻撃や情報流出などのニュースを目にする機会も増え、さすがにこのまま放置しておくのはよくないだろうと考え、本格的に移行することにしました。
WordPressを使い続けるか、独自サイトを作るか
移行にあたって、大きく二つの選択肢がありました。一つは、WordPressを使い続けながら、別のテンプレートに変更する方法です。賢威の開発元も新しいブランドのテンプレートを展開していましたので、そちらに移行するというのは十分現実的な選択肢でした。WordPress自体はそのまま利用できるため、比較的負担の少ない方法でもあります。もう一つは、WordPressそのものの使用をやめ、完全にオリジナルのサイトを作る方法です。例えばLaravelなどを利用して、自分の希望する機能を持ったサイトを一から構築してしまうという選択肢です。
最初はかなり迷いました。WordPressは非常に優れたシステムであり、記事の投稿や管理も簡単です。一方で、多くの人が利用できるように設計されているため、自分には必要のない機能も数多く搭載されています。そのため、構成によってはサイトの動作が重くなったり、細かなカスタマイズが難しかったりすることがあります。また、今回のようにテンプレートの更新が終了すれば、再び別のテンプレートへの移行を考えなければなりません。WordPress本体やプラグインの脆弱性にも継続して対応する必要があり、こうした外部の事情に影響されることも少なくありません。
私の場合、最初にホームページを立ち上げたときにはWordPressしか使ったことがありませんでしたが、その後、別のオリジナルサイトやサービスを制作する中で、WordPress以外の仕組みにも少しずつ慣れてきていました。それならば、今回は思い切ってWordPressから離れ、自分で独自サイトを作ってしまおうと考えたわけです。
Claude Codeの進化が移行の決め手になった
この判断を後押ししたのが、生成AIの急速な進化でした。特にClaude Codeの進化は非常に大きく、半年前であればもっと苦戦していたであろう作業が、現在では驚くほど簡単にできるようになっています。以前から生成AIにプログラムを書いてもらうこと自体は可能でした。しかし、実際には生成されたコードを自分でファイルに反映させたり、サーバーにアップロードしたり、修正を繰り返したりと、人間が手作業で行わなければならない部分がかなり残っていました。
ところが、最近のエージェント型AIでは、こうした作業の相当部分まで自動で進められるようになっています。コードの作成だけではなく、ファイルの編集や動作確認、必要な修正などもまとめて進められるため、私自身が行う細かな作業は以前に比べるとかなり減りました。もちろん、最終的な確認や判断は自分で行う必要がありますが、私の役割は生成AIが書いたプログラムを自分で編集・再構成することではなく、AIに何を作ってもらうかを指示し、その結果を確認することへと変わってきています。この変化によって、独自サイトを構築するハードルは以前とは比較にならないほど下がりました。そこで、今回はWordPressのテンプレートを変更するのではなく、Claude Codeを使ってオリジナルのサイトへ移行することにしました。
実際の移行作業は、わずか1日で完了した
ここからは少し技術的な話になりますので、興味のない先生は読み飛ばしていただいて構いません。ただ、今後ご自身でサイトを作ったり、WordPressから別のシステムへ移行したりすることを考えている先生には、参考になる部分もあるかと思います。
WordPressは世界中で広く使われているシステムですので、記事や画像などのデータを取り出すための仕組みも整っています。そのため、これまで投稿した記事を一つずつコピーして、新しいサイトに貼り付け直す必要はありません。今回もClaude Codeを利用して、WordPressに保存されている記事の情報を一括で取得・整理し、そのデータをもとに新しいサイトを構築しました。従来であれば、記事を取り出してデータを整理し、それを新しいシステムに登録するという作業が必要だったと思います。さらに、新しいサイトの構成を考え、記事を表示する仕組みや管理する仕組みも作らなければなりません。しかし、今回はこうした作業の大部分をClaude Codeに任せることができました。指示を出して処理が終わるのを待ち、結果を確認して必要な修正を依頼するという流れで、移行作業が進んでいきました。
そして、驚いたことに、実際のサイトの作り直しと記事の移行は、ほぼ1日で完了してしまいました。正直なところ、最も時間がかかったのは技術的な部分ではなく、サイトのデザインでした。どのような見た目にするのか、記事をどのように配置するのか、利用者が目的の記事を探しやすい構成にするにはどうすればよいかといった部分です。サイトそのものを動かす仕組みを作ることよりも、どのようなサイトにしたいのかを決めることの方が難しかったというのが、今回の率直な感想です。
もちろん、これは私が以前からサイト運営や生成AIを利用した開発を経験していたことも大きいと思いますし、移行後の細かな調整や確認まで含めて、すべてが1日で終わったという意味ではありません。ただ、以前であれば相当な手間がかかったはずの作業が、これほど短時間でできるようになったことには驚きました。少なくとも、私のようなサイトであれば、移行やリデザインのたびに業者へ何十万円も支払わなければならない時代ではなくなってきていると感じます。
独自サイトに移行したことで、やりたいことも増えてきた
現在はまだ移行したばかりですので、細かな部分を少しずつ調整している段階です。例えば、記事の検索性を高めたり、タグの分類を見直したり、読みたい記事にできるだけ簡単にアクセスできるようにしたりといった改善を進めています。また、将来的にはメールマガジンのような機能も実装してみたいと考えています。例えば、過去の記事も含めて1日1記事ずつ配信する仕組みを作るなど、情報発信の方法をもう少し広げてみたいと思っています。
こうした機能を自分の希望に合わせて自由に実装できることは、独自サイトの大きな魅力です。もちろんWordPressでもプラグインなどを利用すれば実現できることは多いのですが、既存の仕組みに合わせるのではなく、自分が必要とするものを作れるという点には、やはり面白さがあります。
それでも、WordPressは今も非常に優れたシステムだと思う
ここまで読むと、私がWordPressを否定しているように感じられるかもしれません。しかし、決してそういうわけではありません。WordPressは現在でも非常に優れたシステムであり、世界中で広く利用されています。有名企業や大学などでも採用されており、ホームページを自分で立ち上げる際の有力な選択肢であることに変わりはありません。特に優れているのは、その圧倒的な普及率です。利用者が多いため、わからないことがあってもGoogleで検索すれば、ほとんどの問題について何らかの解説が見つかります。関連書籍も豊富で、テンプレートやプラグインも数多く提供されています。さらに、生成AIにもWordPressに関する膨大な知識が蓄積されているため、困ったときに相談しやすいというメリットもあります。
私自身、クリニックのホームページについては、現在もWordPressを使い続けています。今後もWordPressを利用する機会は十分にあると思っていますし、誰かから「初めてホームページを自作するなら何がいいですか」と相談されたら、まずWordPressを勧めると思います。ただし、WordPressにもいくつか注意すべき点があります。その一つが、圧倒的なシェアの高さゆえに、サイバー攻撃の対象になりやすいということです。
世界中で数多くのサイトに使われているシステムですので、攻撃者にとっても研究する価値があります。仮に多くのサイトで共通して使われている部分に脆弱性が見つかれば、一つの攻撃手法で多数のサイトを狙える可能性があるからです。攻撃者も無限に時間を使えるわけではありません。ごく一部の人しか利用していないサービスの脆弱性を探すより、世界中で使われているシステムの弱点を見つけた方が、効率よく攻撃できる場合があります。そのため、WordPressはどうしても攻撃対象になりやすい面があります。もちろん、WordPressを利用しているから危険というわけではありません。適切に更新・管理されていれば比較的安全に運用できますし、独自サイトだからといってセキュリティ上の問題がなくなるわけでもありません。ただ、普及率の高さゆえのリスクがあることは、理解しておいた方がよいと思います。
もう一つが、今回私が経験したテンプレートの更新終了という問題です。WordPress本体が更新されていても、利用しているテンプレートの更新が止まってしまえば、テンプレートに脆弱性が見つかった際に修正されない可能性があります。また、WordPressやPHPのバージョンが上がった際に、古いテンプレートが正常に動作しなくなったり、表示が崩れたりすることも考えられます。もちろん、別のテンプレートに変更すればよいだけなのですが、長年運営しているサイトでは、これが意外と面倒な作業になります。
それならば、なるべく利用者の多い、更新が終了しにくいテンプレートを選べばよいという考え方もあります。ただ、今回私が利用していた賢威は、長年提供され、多くの利用者を抱えていたテンプレートでした。そうした実績のあるサービスであっても、更新が終了することがあるわけです。さらに、生成AIの進化によって、私のような個人でも比較的簡単にオリジナルサイトを制作できるようになってきています。今後、WordPressの有料テンプレートを販売するというビジネス自体も、以前より難しくなっていく可能性があります。そう考えると、テンプレートの提供がいつまで続くのかという問題は、サイトを長期運営するうえで、無視できないリスクではないかと思っています。
独自サイトには、独自サイトならではの面倒くささもある
ただし、独自サイトへの移行を誰にでも勧められるかといえば、そうではありません。WordPressは、記事を投稿するための管理画面や、画像をアップロードする仕組み、ユーザーを管理する仕組みなどが、最初から用意されています。一方、独自サイトでは、そうした機能も必要に応じて自分で作らなければなりません。例えば、記事を投稿するための管理画面を作ったり、管理者の認証機能を用意したり、更新時にSSHなどを利用してサーバー上のファイルを操作したりといった作業が必要になる場合があります。二段階認証などのセキュリティ対策も、自分で考えて実装・管理する必要があります。
こうした部分は、WordPressであれば比較的簡単に利用できる機能です。独自サイトでは自由度が高い代わりに、自分で管理しなければならない範囲も広くなります。もちろん、こうした作業もClaude Codeなどを利用すれば、以前よりはるかに簡単になっています。しかし、AIが作ったものだからといって、そのまま安全に運用できるとは限りません。何かトラブルがあれば、基本的には自分で原因を調べ、対応しなければならないという問題もあります。その意味では、初めてホームページを作る先生に、いきなり独自サイトの構築を勧めるのは、現時点でもややハードルが高いと感じています。ただ、生成AIの進化を見ていると、このあたりのハードルがさらに下がるのも時間の問題ではないかと思います。
初めてホームページを作るなら、今でもWordPressを勧めたい
今回、私はWordPressから独自サイトへの移行を選択しましたが、結論として、これから初めてホームページを自作する先生には、今でもWordPressをお勧めします。特に、これからクリニックを開業する先生や、現在ホームページ制作会社に管理を依頼していて、その契約を終了して自分で運営してみたいと考えている先生であれば、まずはWordPressから始めるのが無難だと思います。実際に使ってみると、ホームページがどのような仕組みで動いているのか、記事をどのように投稿するのか、検索エンジンに表示されるためにどのようなことが必要なのかといったことも、少しずつ理解できるようになります。
そのうえで、別のサイトを実験的に立ち上げてみたり、生成AIを利用して簡単なWebサービスを作ってみたりするのもよいと思います。そして、WordPressを運営していく中で、もっと自由に機能を作り込みたい、今の仕組みではやりたいことが実現できないといった不満が出てきたのであれば、その段階で独自サイトへの移行を検討すればよいのではないでしょうか。もちろん、ある程度のリスクを許容できる先生であれば、最初からClaude Codeに依頼して、独自サイトを作ってしまうという選択肢もあると思います。技術的なハードルは、以前と比較して確実に下がっています。
私自身、数年前までは電子カルテとAmazonくらいしかパソコンを使っていなかった人間です。それが、クリニックのホームページを自作するようになり、情報発信サイトを複数運営するようになり、今ではWordPressを使わずに独自サイトを作るところまで来ました。今回、サイトの作り直しと記事の移し替え自体はほぼ1日で終えられたという経験を通じて、生成AIによって個人ができることの範囲は、本当に大きく広がっていると改めて感じました。今後、独自サイトを制作・運営する際の注意点や、Claude Codeを使った実際の開発方法などについても、Clinic Tech Labの方で少しずつご紹介していきたいと思います。
最後になりますが、以前から当サイトをご覧いただいていた先生方にとって、突然のデザイン変更は少し驚かれるものだったかもしれません。今回の記事が、なぜサイトの見た目が大きく変わったのか、その経緯を知っていただく機会になれば幸いです。
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