外来で慢性疾患の患者さんを診ていると、長期処方を頼まれることがあります。保険上許容されるのは事実上90日が限度と考えているので、最大90日までは処方することがありますが、本音としては経営的には30日処方の方がありがたいという面もあります。今回は長期処方について考えていきます。
勤務医時代はあまり気にしないが、、
勤務医の時は、安定した患者さんであれば、60日、90日処方は普通に行っていました。むしろ忙しすぎる状況を緩和するために、可能な患者さんには積極的に提案していたくらいです。しかし開業医になるとやはり事情が変わります。経営的には、可能なら30日処方で、1ヶ月に一回は来てほしいというのが本音ではあります。患者さんの中には、一ヶ月に1回は診てもらった方が安心という方もみえますし、眠剤で処方制限がある薬剤を処方している場合は30日までしか出せないケースもあります。しかし安定した患者さんの多くは、できれば60日、90日処方を望まれるように思います。
長期処方を望む人には、なるべく希望に沿う
病状的に長期処方が許容できない場合は、流石に無理ですが、安定していて、医学的にも妥当と思われる場合は、私は基本的に患者さんの希望に沿うようにしています。理由としては90日に一回でも来院してくれる方が、全く来ないよりもはるかにマシだからです。色々理由をつけて、長期処方をしないケースも考えられますが、結局は長期処方をしてくれる他院に移ってしまいます。それであれば、少しでも収益を確保しようという考え方です。
実は長期処方はこちらにもメリットがあります。90日処方で通ってくれる方は3ヶ月に一回で済むせいか、継続率は良い傾向があるように思います。継続率が高い患者さんを確実に確保することは時間がかかりますが、長期的にみれば安定していく可能性があります。
リフィル処方箋との関係
リフィル処方箋の30日処方で、2回、3回使用可能とすることも考えられますが、そんなことをするくらいなら、はじめから60日、90日で出してしまったほうが患者さんも面倒でなくてよいと思います。
ちなみに60日で2回使用可能にすると、合計120日分処方できますが、これは、保険上どうなのか、、、現時点では、私は返戻が怖いので、どんな場合も最大90日までの処方にとどめています。医学的にも、症状が予見できるのは、90日が上限かなと考えている面もありますが。
制度上はリフィル処方箋を最大限活用すれば、90日処方をして、3回使用可能とすれば、最大270日分処方できそうですが、これは流石に保険で切られるのではないかと思います。色々調べましたが、現状では30日・3回のリフィル処方箋か、一度に90日処方か、基本的にはそれが限界と認識しています。いまのところ長期処方で対応しているので、リフィル処方箋を使用したことはありません。
いずれはオンライン診療に流れていくかもしれないが
しかし90日処方で、タイムパフォーマンスを重視するような方の場合、いずれはオンライン診療の方に行ってしまう可能性もあるのかな、、とは考えています。それはそれで仕方ないと思いますので、過渡期の間だけでも通ってもらえたらと考えています。
ちなみにですが、オンライン診療は当院ではまだ対応できておりません。保険資格確認の問題だったり、システム的な整備だったりが理由ですが、オンライン診療の業界は、巨大資本をもつ他業種の参入もあり、そのような大企業にはとても太刀打ちできそうにないというのも理由の一つです。転職市場をみていると、自宅勤務可能で、結構多くの募集があります。いずれもかなりの人員を割いて、医者は診療のみに集中し、テンポよく短時間で多くの患者さんを診察することを行っているようです。
マイナンバーカードで、遠隔でも保険資格が円滑に確認できるようになったり、電子処方箋がもっと普及すれば、いずれは当院も参入を考えるかもしれません。