当院はいわゆるミニマム形態での開業で、クリニックには基本的には、私と事務スタッフの2名体制で運営しています。そのため非常に小回りがきくクリニックで、良いと思ったものは取り入れて、何でもとりあえず試してみるスタイルです。小さいクリニックは出来ることに限りはありますが、メリットもあります。小さい経営でのメリットを考えていきます。
他にスタッフがいると、一人院長でも意外になんでも好き勝手やるわけにいかない
クリニックでは、先生が院長で、オーナー兼経営者でもありますので、最高権力者です。すべての責任を負う代わりに、全て先生の思うように意思決定が可能です。しかしながら、クリニックでも多くのスタッフを雇うようになると、意外に何でも思うようにするわけには、いかなくなるようです。システムを変えたり、何か新しいシステムを導入しようとすると、古株のスタッフから反発があり、なかなか思うように行かないという先生の声も聞きます。スタッフも長く勤めていたり、権限委譲を行って重要な仕事を担うようになると、意見をないがしろにするわけにもいきません。ある程度経営が安定したクリニックの経営者は、集患や経営よりも、スタッフ管理に一番頭を悩ませるようです。その場合十数人規模のクリニックでも、フットワークが重くなり、大企業病のようなことが起こってくるようです。
当院は朝令暮改
当院は私と受付のスタッフのみなので、良いと思ったことや、試してみようと思ったことは、とりあえずやってみるようにしています。やってみて都合が悪ければ戻せばいいだけです。基本的には私が試しにやってみて、取り入れた方がよいと思ったら、事務さんが関わることは、しっかり説明してお願いしています。最近では、オンライン資格確認の周辺のシステムは、色々電子カルテの連携等で機能追加があるので、こちらの機能追加に従って、システムに追従するようにしています。
ただ闇雲に取り入れるのではなく、基本的に手間を削減するもの、間違いを減らせるもの、患者さんにとってもメリットがあることなど、業務を効率化し、クリニック、患者さん双方にメリットがあるものを取り入れるようにしています。取り入れることで手間が増えるようなことは行いません。無意味な業務を増やすと、ミスが増えたり、スタッフの意欲低下に繋がるからです。無意味な業務をやらされる心的負担は、勤務医時代に経験したので、自分が経営者である限りは、そのような業務は極力減らす努力をしています。
生き残るために、小規模な利点を最大限活かす
当院のような小規模なクリニックが生き残るには、小規模である利点を最大限活かしていく他ありません。フットワーク軽く動くことは、当院にとっては必須の生存戦略とも言えます。最近見直したことは、予約時間の調整です。今までは15分おきにしていた時間帯を、10分×3枠と5分の空き時間を組み合わせ、1単位35分のセットとすることで、同じ時間内でも、より多くの患者さんに対応できるように改善しました。今までおそらく漏れてしまっていたような患者さんに対応できるようになり、効果を感じています。たとえ一日一人の患者さんを増やすことであったとしても、年間に換算すると相当なインパクトになります。ちなみに一日の患者数を一人増やすことは、とてつもなく大変なことです。
このようなトライアルアンドエラーであっても、ある程度大きい規模のクリニックではなかなか大変です。まず計画をしっかり立てて、職員に説明して納得してもらい、日時を決めてやっと実行に移すという感じだと思います。私の場合は、上記のことを、思いついたその日にすぐ実行しました。フットワークの軽さが違います。逆にそのくらいしか、大きな資本をもつクリニックには敵わないとも言えますが。。
PDCAサイクルを高速回転させると、徐々に変わり始める
ひとつひとつは、本当に小さなことで、気が遠くなるようなこともありますが、それでも改善を繰り返すと確実に業務は効率的になってきます。ワンクリックでもアクションを減らすことを常に心がけて、業務改善に臨んでいます。そのためのツールへの投資は基本的に惜しまず行っています。(参考記事→電子カルテ記載の時短ツール(ハードウェア編) 電子カルテ記載の時短ツール(ソフトウエア編))
当院も開院当初と比べると、だいぶ無駄な業務や作業が削減できました。無駄な業務が減ると、ミスも減り、時短にもなり、その分浮いた時間で、診療枠を増やすなど、経営的にも改善効果があります。もし先生も開業後になにか手詰まりを感じることがあれば、本当に小さなことからでも見直してみると良いと思います。チリツモは大きいです。