勤務医で外来の仕事をする場合は、朝早めに来てカルテ準備をする先生は珍しいと思いますが、開業医はある程度準備をしておくことが多いと思います。事前にできるカルテの準備をすることで患者の待ち時間軽減や、診療に集中することが可能になり、業務が円滑に回ります。
今回は当院での朝のカルテ準備について具体的にご紹介します。
まずは保険資格の確認と入力
朝来ると予約患者さんの受付処理を行い、オンライン資格確認システムにて、来院歴がある患者さんの保険証が有効かどうかを確認します。保険証が有効であれば、来院時の保険確認の際は、そこまで神経質にならなくてOKとなるので、頭のメモリを節約できますし、万が一患者さんが保険証やマイナンバーカードを忘れた場合も、以前と変わっていないことを確認できれば、その日は省略することも、場合によっては許容されると思います。
初診の患者さんも、予約をして頂いた段階で、保険証の写真を送ってくれる患者さんも多くなってきました。その場合、保険資格を事前に打ち込み、こちらもに前いオンライン資格確認で有効性を確認できます。
またこれは裏技ですが、来院歴もなく、保険証の写真を送ってきていない患者さんでも、家族の受診歴があって、扶養に入っている場合は保険資格を確認できる場合もあります。これは本来のオンライン資格確認システムの使用方法ではないので、どうしてもやむを得ない場合のみですが。
保険資格は、上記のように確認しています。オンライン資格確認システムは賛否両論ありますが、受診時の保険資格の有効性を確認できる面では、かなりのメリットを感じています。また単純な番号の打ち込みミスも、エラーが出るので確認できます。オンライン資格確認を導入後は、保険資格の単純な打ち込みミスによる返戻は一切無くなりました。
問診確認、カルテ作成
予約を取っていただいた時点で、デジタル問診に回答していただける患者さんが多いです。そのため問診に応じて、必要な、検査キットや血液検査セットを用意しておいたり、問診票からあまり使わない知識が必要だと予想される場合は、『今日の診療』にさっと目を通して予習をすることもできます。『今日の診療』で仕入れた知識は、忘れないように、その患者さんのカルテにコピーしておくこともあります。こういうことは電子カルテのメリットを最大限にフル活用します。
カルテは朝の時点で分かる範囲で、可能な限り作っておきます。事前に問診から予測できる必要な検査もあらかじめ入れておき、不要なら消せばいいだけなので、なるべく診察時にカルテ業務を省略できるように、セット機能もフル活用して準備をします。レセプトについても当院では、すべて私が行っているので、予約時点で分かることはすべて組み立ててしまいます。患者さんの診察でカルテにさわるのは、問診や診察所見の記載、あとは、追加する検査や処方薬がメインです。初診料やそれに絡む加算、検査、管理料などは、可能な限り事前に入力してしまいます。
ここまで準備しておくと、診察時は患者さんの話を聞くこと、所見を取ること、アセスメントに集中できます。もちろん問診がない場合や、予想外の症状の場合もありますが、その際はケース・バイ・ケースで対応しています。事前準備でスムーズに進行する患者さんが多いので、多少想定外のことで時間をとられても問題なく対応できます。
必要な書類の準備
生活習慣病療養計画書など、患者さんによっては、書類が必要な方も見えます。こちらも事前に準備をしておきます。書類は電子カルテのテンプレート機能もフル活用します。診察前ではなく、開院してから来院直前に予約を取られる患者さんもみえるので、そのようなケースでは診療時間前に準備することはできません。しかしテンプレートを作り込んでおけば、その患者さんに合わせて、少し情報を調整するだけで、書類はすぐに出来上がります。また生活習慣病療養計画書への記載を意識した書式で、普段からカルテ記載をしておくのもポイントです。そうすれば、カルテのコピー&ペーストと、テンプレの不要な情報をカットすることで、計画書は一瞬で出来上がります。生活習慣病療養計画書はこちらの記事もご参照下さい。(参考記事→カルテ記載のポイント 管理料編)
また診断書が必要な患者さんは、診断書の内容準備はもちろん、封筒も準備して、糊で封をするだけの状態にしておきます。
事前準備をすると、かなり待ち時間は短縮できる
このような事前準備をしておくと、患者さんが待つ時間はかなり短縮できます。もちろん他の患者さんの診察がずれ込んで待ち時間が発生することはゼロにはできませんが、当院では予約制も併用することで待ち時間はかなり短縮できていると思います。
患者さんとしては、診察まで待つのは仕方ないとしても、診察後の会計で待たされるのはかなりストレスになるようです。当院では事前にレセプトを含めて準備していること、電子カルテの自動算定機能をフル活用すること、レセプト業務を私が把握して行うことで事務さんを介さないので、診察後の待ち時間はほぼありません。診察後に待たないのは、タイムパフォーマンスを重視する世代の患者さんからも喜ばれています。
実際の流れとしては、診察後は待合室にご案内し、処方箋を印刷している数秒の間にレセプト業務も終了し、あとは、デジタル決済の場合はそこで終了ですし、クリニック内で現金等でお支払いの患者さんは、自動精算機の紙を発行します。処方箋はお渡しする前に、再度私が最終確認し、自動精算機の支払い票と共にお渡しします。診察終了から、平均1分以内で処方箋をお渡しして終了、またはお会計にご案内できます。慣れてしまうとカルテ記載と一連の流れで出来るようになります。