開業される先生の多くは、ご自身のクリニック一本で行われると思います。しかし敢えて、他の医療機関でアルバイトをしながら、ご自身のクリニックを運営するという手法も存在します。私も実際に行っている開業医+バイト医の手法です。今回は開業医でありながら、アルバイトも掛け持ちで行う手法についてご紹介します。
開業当初は結構つらい、、
特に先生が土地にゆかりがない場所で、いわゆる落下傘開業をする場合は、開院当初は本当に患者さんがみえません。一日1-2人が続くことも普通にありました。一日クリニックを開けていて、これだと本当に心が折れそうになります。患者さんが来なくても、当然クリニックのランニングコストはかかります。先生の生活費もかかります。借金、リースのお金も用意しなくてはなりません。しかも患者さんがいつから増えるか、どの程度まで増えるかなどは、全く予想がつかないものです。私も不安でロクに眠れない日々が続きました。
そんなときに、少しでも安定した収入があると、精神的にも、金銭的にも負担が減ります。そういう意味で週1回程度、他の医療機関でアルバイトをすることは、特に開院初期はおすすめです。
負担が少ない仕事を
アルバイトと言っても、普段の仕事に差し支えるような、ハードな現場や当直などの業務はオススメしません。もっともよいのは、待機に近い業務で、なおかつ単価がよいお仕事です。また普段行っている仕事と分野が違うほうが気分も変わって良いと思います。
私は自由診療の、問診業務を行っています。拘束時間がやや長めで、夜も遅くまでの仕事であるというデメリットはありますが、実働時間よりも待機時間が長く、待機中は自分のクリニックの仕事や勉強、読書、休養などに時間を使えるためおすすめです。上記の他には、健診業務や、訪問診療の待機業務、透析管理、療養病棟の日直などのお仕事も良いと思います。
自由診療、美容については、普段は保険診療を行っている先生がほとんどと思いますので、抵抗がある先生も少なくないと思います。しかしやってみると結構楽しいです。来院される方も「患者様」ではなく「お客様」なので、来院層が全く異なり、そういう意味でも気分が変わります。病気ではなく、健康な方と接するというのもいいです。
給与所得控除が使える
先生は今まではあまり気にして来られなかったと思いますが、開業すると税金や社会保険料の知識も必要になってきます。給与所得には、一定の控除が存在します。これを使わないのはもったいないです。所得は分散すると、税金を減らすことができます。個人事業+給与所得は合理的な方法の一つであると思います。
給与所得控除では、年間55万円は最低控除できるので、週一とまでいかなくても、月1回のスポットバイトで日給5万円なら、年間60万円で、これについては、60万ー55万=5万円分についてしか税金がかからないので、これを使わない手はありません。
気分転換になる
自身のクリニックで毎日同じような仕事をしていると、正直飽きてるというか、気分を変えたいと思うときがやってきます。開業すると、良くも悪くも、慣れてくると単調になりがちで、仕事はルーチンに収束していきます。それはそれで良いのですが、あまりに毎日同じような日々だとつらいと感じるときもあります。週一回でも、他の医療機関で、普段と違う仕事をしたり、仕事帰りに寄り道したりすることで、気分を変えることができると思います。気分転換も開業医には必要です。メンタル維持は医師にも大切だと思います。仕事だけになると、やはりどこかで疲れてしまいますから。
非常勤、アルバイトでも有給休暇はとれる
これは本当に見落としている先生が多くて、本当にもったいないと思うのですが、週1のアルバイト医でも、有給休暇は法定通り付与されます。週一の非常勤でも、半年勤めると、一日の有給休暇が付与されます。もし日給10万円の勤務の場合、10万円付与されるのと同じようなものです。逆に見落としている場合は、10万円を失っているとも言えます。
その後は1年毎に2日の有給休暇は付与されていきます。医師の有給休暇については、こちらの記事も参照してください。(参考記事→有給休暇は非常勤でも取れる!)
長期休暇の場合は事前に言えば休める
アルバイトに関して、せっかく開業したのに、自由に休めないのでは開業医のメリットが活かせないと思われる先生もいらっしゃるようです。基本的に、ある程度前もって申請すれば、基本的に休める職場がほとんどだと思います。夏休みや、長期の海外旅行も普通に可能です(クリニックが安定していればですが)。上記のように有給で休むこともありますし、休みが認められないような現場はそもそも避けたほうが無難です。アルバイトについていえば、優良な職場は探せば必ず見つかります。こちらはまだ医師が選べる立場です。
安定すれば、自分のクリニック1本でいいと思います
開業して安定すると、アルバイトに行くよりも、ご自身のクリニックで勤務した方が、金銭的にもメリットがある先生も多いでしょう。そのような場合は、もうアルバイトは卒業時期だと思います。よほどそのアルバイトが気に入っていたり、気分転換のために続けたいなどあれば別ですが、基本的には卒業でよいかと思います。ちなみに私はまだ卒業できておりません(泣)。
アルバイトの頻度は
アルバイトとご自身のクリニックの割合ですが、無理のない範囲だと、週1アルバイト、週4開業医、週2休み、くらいでしょうか。私はこのスタイルで行っています。体力に自信がある先生は、週2アルバイト、週5開業医などで休みなく働いてもよいとは思いますが、先生の身体が心配です。少なくとも週1で休みは作ったほうがよいと思います。
例外的ですが、少々変わった先生だと日勤は他のクリニックでガッツリ勤務して、夜診療専門のクリニックをご自身で運営している先生もいるらしいです。これだと体力的には大変ですが、金銭的にはかなり盤石だと思います。色々な形態で工夫して経営している先生がいらっしゃって勉強になります。
アルバイト探しについて
私はかつて自分の転職経験から、医師転職を応援するサイトも運営しています。転職先を探す際は、こちらのサイトもぜひ参考にしていただければ幸いです。(参考サイト→医師転職トータルサポート)