今回は、クリニックの電力会社をどのように選んでいるかについてお話しします。先生方もご存じのとおり、以前は東京電力など、地域ごとに決められた電力会社からしか電気を購入できず、利用者が電力会社を選ぶことは事実上できませんでした。その後、電力の小売全面自由化により、現在ではさまざまな会社から電気を購入できるようになっています。

しかし、実際には、クリニックを開業した当初に契約した、いわゆる大手電力会社をそのまま利用している先生も多いのではないでしょうか。電力会社の変更手続きは一見面倒に感じますが、契約を見直すだけで、電気代をある程度節約できる可能性があります。今回は、私が電力会社を比較・変更した経験を共有します。

電力の自由化

現在は、利用者が電力会社を選び、複数の会社から電気を購入できるようになっています。インターネットで検索すると、地域によって電気料金や電力を供給している会社が異なるため、一概に「この会社がよい」とはいえません。ただし、東京電力をはじめとする地域の大手電力会社から、いわゆる新電力に切り替えることで、電気料金が安くなるケースもあります。

電力会社を自由に変更できること自体は、聞いたことのある先生も多いと思います。しかし、実際に契約先を変更している先生は、まだ少数派ではないかと私は考えています。契約を見直しても、節約できる金額は月に数百円から数千円程度かもしれません。そのため、よく知らない新電力に変更して何か問題が起きたら困るという不安もありますし、単純に手続きが面倒という面もあります。こうした理由から、電力会社の見直しまでなかなか手が回っていない先生も多いのではないでしょうか。

実際には、そこそこ安くなることが多い

電力の自由化が進み、一般的には、地域の大手電力会社から新電力に切り替えることで、電気料金が安くなるケースも少なくありません。どの程度安くなるかは電力の使用量や契約内容によりますが、月に数百円程度にとどまる場合もあれば、月に1,000円以上、年間で考えると1万円以上安くなる場合もあります。実際に比較してみると、思っていた以上に節約できるケースもあるのではないかと思います。

また、電力会社の変更は、固定費の見直しにあたります。通信費の見直しと同様に、最初に少し面倒な手続きを済ませてしまえば、その後は特に何もしなくても、電気料金を抑えられる状態が続きます。一度の見直しによって、その後も継続してコストを削減できるため、電力会社の契約は一度確認してみる価値があると考えています。

電力会社の切り替えには注意点もある

しかし、電力自由化には注意点もあります。電力会社が電気を調達する方法や料金プランによっては、社会情勢の影響を受け、電気料金が大きく変動することがあります。特に、昨今のように世界各地で戦争や紛争が起こり、原油や天然ガスなどのエネルギー価格が不安定になると、燃料費調整額や電源調達調整費などが急に高くなる可能性があります。再生可能エネルギー発電促進賦課金を含め、基本料金や電力量料金以外の費用が想定以上に膨らみ、電力会社を切り替えたことで、かえって割高になってしまう場合もあります。この点には十分な注意が必要です。

携帯電話会社の変更であれば、切り替えた結果、突然極端に高額な通信料金を請求されるということは、通常はあまりありません。しかし、電力については、燃料の調達価格や各種調整費によって、毎月の請求額が大きく変わることがあります。電力会社を比較する際には、単純な基本料金や1kWh当たりの単価だけを見るのではなく、燃料費調整額や電源調達に関する追加費用が、どのような仕組みで加算されるのかを確認する必要があります。

そのため、新電力を選ぶ場合も、まったく聞いたことのない会社を料金の安さだけで選ぶより、ある程度の運営実績や評判がある会社を選んだ方が安心です。また、エネルギーの調達価格によって料金が変動するのか、調整費に上限があるのか、市場連動型の料金プランではないかといった点を、事前に確認したうえで切り替えることが大切だと考えています。

抱き合わせ商品があるプランには注意が必要

現在はさまざまな会社が電力事業に参入しており、例えば、電力会社を切り替えるとAmazonプライムやマネーフォワードを無料で利用できるなど、他のサービスと組み合わせたプランも増えています。

ただし、このような抱き合わせ商品には、少し注意が必要だと私は考えています。無料になるサービスの費用も、最終的には電気料金などを通じて、利用者が負担している可能性があるためです。もちろん、抱き合わせ商品があるから、そのプランが悪いということではありません。もともと利用しているサービスが無料になり、電気料金を含めた総額でも安くなるのであれば、十分にメリットがあります。

一方で、特典だけを見ると一見お得に感じられても、電気料金そのものが高ければ、結果的には自分でサービス料金を支払っているのとあまり変わらないこともあります。今回の目的は、あくまで電気料金を含めた固定費を抑えることです。特典の内容だけに目を向けず、電気料金と付帯サービスを合わせた総額で、シビアに比較した方がよいと思います。

電力会社の実際の探し方

電力会社は地域によって利用できる会社や料金プランが異なるため、一概に「この会社が最もよい」とご紹介するのが難しいところです。まずは、「地域名+電力会社比較」や「地域名+電気料金比較」などの言葉で検索すると、その地域で利用できる電力会社の比較サイトが見つかると思います。

比較サイトでは、現在の契約内容や毎月の電力使用量などを入力すると、各社の電気料金をシミュレーションできます。直近の電気料金の請求書や明細を手元に用意し、現在の契約プランや使用量を入力したうえで、自分のクリニックに合った電力会社を選ぶのがよいと思います。

また、関東圏の先生であれば、東京医師歯科医師協同組合が提供する「医師協でんき」も、比較的お得な選択肢に入ると思います。他の電力会社と合わせて、比較の対象にする価値は十分にあると考えています。

私が実際に契約している電力会社

私は、クリニックだけでなく、自宅の電力会社も地域の大手電力会社から新電力に切り替えています。ここでは、現在どのような契約にしているのか、実例をご紹介します。

  • 自宅の電気:シン・エナジー
  • クリニックの通常の電気:シン・エナジー
  • クリニックの低圧電力:医師協でんき

現在、私の契約状況はこのようになっています。

シン・エナジーという会社は、あまり聞き慣れない先生も多いかもしれません。私も、電力会社を切り替える際にさまざまな会社を比較し、そのときに初めて知りました。契約後は特に大きな問題もなく、社会情勢や戦争などの影響によって電力の調達費用が急激に上昇するようなことも、現時点ではなく、問題なく利用できています。

クリニックの低圧電力については、医師協同組合が提供する「医師協でんき」を利用しています。いずれも料金比較はシミュレーション上のものですが、東京電力などの地域の大手電力会社と比較すると、少し安くなるという結果になっています。

すべてを「医師協でんき」に統一しないことに疑問を感じる先生もいらっしゃるかもしれません。その理由は、医師協でんきの担当者に、現在利用しているシン・エナジーとの料金比較を依頼した結果、現状ではシン・エナジーの方が若干安いという見積もりだったためです。そのため、自宅とクリニックの通常の電気については、引き続きシン・エナジーを利用しています。