今回は開業について、家庭内にも目を向けた話題です。開業する年代の先生は、家庭をお持ちになっているケースも少なくないと思います。その場合ご家族を養いながら、開業をすることになりますが、これが思った以上に大変です。特に先の見えない開業初期は本当に不安に苛まれます。極論するとお金の悩みということになりますが、今回は家族を持たれる先生が開業するケースについて考えていきます。

自分ひとりならなんとでもなると何度も思った

開業当初は、資金繰りに悩み、しかも今後クリニックがどのようになっていくのか、全く見通しが立たないものですから、非常に苦しい時期でした。私ひとりなら、生活費を削ることも容易ですが、家族がいると、なかなかそうはいきません。正直、開業は独身のうちにやっておくべきだったと、開業後に思いました。

準備から開業初期がきつい 

開業準備から、開業後してからも大変だったことは色々ありますが、開業準備から、開業直後数ヶ月が、精神的にかなりキツかった憶えがあります。開業前後はわからないことだらけです。色々と対策も考えますが、やってみないとわからないことも多く、どうしようもできないこともあります。自分が努力すればどうにかなることならば、頑張りようがありますが、自分の努力でもどうにもならない、自分でコントロールできないことが多く、これが精神的にキツかったです。

開業にまつわる悩みは基本的にお金

開業に伴う悩みや、ストレスは色々とありますが、本当に極論すればお金の悩みです。もちろんお金があってもどうにもならない問題もありますが、独立に伴う一番の悩みはやっぱりお金です。身も蓋もない話ですが、お金に困っていないならば、開業などせず遊んで暮らすこともできるのですから。そして表題の通り、家族を守らなければならない先生も多いと思いますが、そのストレスやプレッシャーは想像を絶するものがあります

勤務医でお金に本当に困ることは無い

勤務医である間に、本当にお金に困った先生というのは、かなり稀であると思います。多少出費が増えた月があっても、家賃や食費の支払いに困る医者というのはまずいないでしょう。しかし開業医になると、お金に関してはかなりシビアな状況になります。まず当然ですが、いままでのように毎月決まった給与が振り込まれることはなくなり、むしろ最初は持ち出しの方が増えます。今まで同様に家族の生活費も用意しながら、クリニックの固定費、借入金返済、その他本当にお金がかかり続けます。開業当初はお金に困らない先生のほうが珍しいと思います。

特にお子さんが小さい場合は家のことも大変

お子さんがみえる先生の場合は、お金というよりも帰ってからの育児がまた忙しいと思います。仕事でへとへとになって帰って、お子さんのお世話をして、夜中にお子さんが起きればお世話をして、、寝不足のまま、朝には仕事に向かう、、永遠に続く時間ではありませんが、本当に大変であると思います。

家族が原動力になることも

正直に申し上げて、開業という起業をビジネスとして成功しようとすれば、独身である方が動きやすいと思います。その方が個人的には大失敗する可能性も低く、成功率も高いように思います。しかし不思議なことに家族がいることで、何とかしなければと踏ん張れたことも、実は何度もありました。

自分ひとりであれば、開業医よりもラクで、稼げるような方法はいくらでもあります。皮肉な事かもしれませんが、開業医として生きる決意をして、様々なことを学んだことにより、上記のような手法はいくらでも思いつくようになりました。経営や税務の知識を仕入れる過程で、また同時に週一のアルバイト先を確保するために転職業界とも真剣に向き合った結果、勤務医時代には知り得なかった多くのことを学びました。その結果、勤務医でQOLを高めて高収入を得る方法は、再現性が高い方法でいくらでも存在することを知りました。もし自分ひとりだったら、ラクでリスクも低い方法を途中で選んで、開業はもう止めていたかもしれません。良い悪いの話ではありませんが、いま私が開業医を続けられているのは、家族の存在が一番大きいです。

多くの先生は、家族を養いながら開業すると思います

実際問題として、家族を養いながら開業をする先生の方が多いのではないでしょうか。何も偉そうなことは言えませんが、もし開業を経験した私から先生に申し上げられることがあるとすれば、開業について家族に賛成してもらうこと、生活費を含めた運転資金は余裕をもって確保しておくこと、の2点かと思います。

家族が理解して先生を応援してくれていれば、仕事がどうなるかはわかりませんが、先生の人生は結果的におそらく上手くいきます。また貧すれば鈍するというのは、私の経験からも確かだと思います。資金的に追い詰められた苦しみは、味わったものにしか分からない、言葉にできない苦しみです。逆に資金に余裕がれば、心にも余裕を持てます。

拙い経験ではありますが、少しでも先生の参考にしていただければ幸いです。