クリニックの開業では、やった後にこうすればよかった、これはいらなかった等の思いは、後からいくらでも出てきます。今回は大きなお金が動く内装で、当院でやってよかったと思うことについて、ご紹介しようと思います。

発熱外来を分けた

最も良かったと思うことは、発熱外来を作ったことです。COVID-19が流行する最中の開業でしたが、いつまで続くか全く見えない状況でした。作っても使わなくなるリスクもある中、思い切って導線と診察室を分けたことは、後から考えると正解でした。コストは数百万円増えましたが、後に十分回収できました。正直通常の外来よりも使用頻度が高く、もう少し大きめに作っておいても良かったと良いと思うほどです。

実は発熱外来を作るかどうかは、最後の最後まで迷った項目でした。もし作らない選択をしていたら、私はすでに開業を撤退していると思います。開業当初は9割の収益を発熱外来で生み出していました。それが無ければ資金的に、まず耐えられなかったと思います。そして現在でも通常外来よりも発熱外来の方が売上があります。特にインフルエンザ流行期等は助けられています。

内装のたった一つの選択で、その後の収益や運命を大きく左右することもあります。また内装を後から修正するのは、難しいケースも多いです。先生も時間が無い中で決めなければならないと思いますが、よくお考え頂き、後から後悔しない選択をしていただければと思います。

ウォシュレットは瞬間式に

これは小さな話ですが、トイレのウォシュレットを貯水式ではなく、瞬間式の方が良いです。貯水式は使い切ると途中から水になり、冬は冷たいです。現在はほとんどが瞬間式だと思いますが、内装の見積もりを持ってきたある業者さんは、旧式の貯水式で見積っていました。おそらくコストを下げるためだと思いますが、これは妥協しない方が良いと思います。

水回りの壁紙は丈夫なものに

水道まわりの壁紙は、耐水性で丈夫なものにした方が良いと思います。壁紙は水周りだけなど、一部別のものにすることも容易です。クリニックの内装に慣れている業者はデフォルトでそのように提案してくれると思いますが、中にはこちらから提案しなければならないケースもあるので、注意が必要です。

受付の机は広めに

事務さんが使う受付の机は広めで正解でした。デュアルディスプレイにしたり、途中からオンライン資格確認のパソコンも増設したので、広めに作って良かったです。

コンセント、LANケーブルは多めに

コンセントやLANケーブル、また電話線やTVのチューナなど、後からここに欲しかった!となることは少なくありません。当院は業者が勧めるので、多めに作りましたが、結果としては多めにあって正解だったと思います。これらは内装をつくる段階ではそこまでコストも手間もかかりませんが、後から増設するのはかなり大変です。後から備品を増やしたり、それに伴い電源やLANが欲しくなることは思いの外あります。コンセントやLANケーブルは過剰なくらいに作っておくことが理想です。

特に診察室は、モニターやプリンターなど、電気を食うものも多いので、コンセントは独立させていくつか設置しましょう。消費電力が多いものをタコ足配線にすると思わぬトラブルの原因になります。診察机の下はコンセントだらけで丁度良いくらいです。