以前ご紹介したマイクロ法人については、戦略として有効な面はあるものの、最終的には「労力などのコストに対してベネフィットが見合わない」という結論でした。実はミニマム開業も同様で、リスク自体は抑えられる一方、得られるメリットが労力・時間・運営コストに比して十分とは言い難く、総合的に見るとおすすめしにくい。今回はその点を検討する記事です。

「ミニマム開業はリスクが少ない」と言われますよね。これは確かに私も同意します。たとえば万が一失敗しても、自己破産に至る可能性はほぼなく、借金も返済できる範囲に留まります。その範囲に収まるからこそ「ミニマム開業」と呼べるわけです。

ただし、現在は日本の保険診療の先行きが読めず、診療所はどちらかといえば厳しい扱いを受けやすい状況です。では、メリットは果たしてどこまであるのか。ご自身で診療所を開設し、理想の医療や運営を実現してみたい先生が、まずは小さな規模で試す——これは十分に「あり」だと思います。
一方で、それを「商売として成立」させ、ご家族を養う責任も負いながら小規模で続けるとなると、リスクとベネフィットが本当に釣り合うのか——ここが核心の論点になります。

費用・借入・時間の負担——「診療以外」が増える現実

ミニマム開業でも、当然ながら最初はある程度の費用がかかりますし、借入が必要になる可能性も高いと思います。その投資をきちんと回収できるのか、そしてそもそも日々の生活を安定して維持できるのかという点は、やはり大きな課題になります。

さらに、実際に開業してみると感じるのは、診療時間以外の業務の多さです。診療そのものに充てられる時間は意外と少なく、それ以外の時間は、事務的な手続きや経理、労務管理、行政とのやり取りなど、医療とは直接関係のない業務が大半を占めてきます。正直なところ、「医師の仕事としてこれはどうなのか」と思う瞬間もあります。

私自身の経験から言えば、会計業務、社労士業務、行政との折衝といった“事務仕事”に費やす時間をすべて含めて考えると、勤務医として働いていたときと比べて、明らかに労力対効果は不利だと感じます。勤務医であれば収入は安定していますし、煩雑な事務作業に追われることもありません。そう考えると、戦略を練れば勤務医を続けるという選択にも十分なメリットがあると感じます。

いまの環境での「最適解」について

独立は、考え方によってはもちろん有効な手段のひとつです。20-30年前なら、独立のほうが明らかに有利だった局面も多かったでしょう。ですが現時点では、独立する医師に不利な条件が重なっている印象があります。リスクとベネフィットを冷静に勘定すると、必ずしも見合っていない、というより不利な要素が多いというのが正直なところです。

お金と労力の両面から見ると、いまの最適解は非常勤を掛け合わせることではないか、と私は考えます。非常勤にもリスクはありますが、開業医になることに比べれば、相対的に低リスクだと思います。

最大のリスクは「借金」、次点は「手元に残りにくい構造」

独立で最大のリスクは、稼ぐどころか借金を背負ってしまうことです。ここが最も大きな問題です。

次に懸念されるのは、「売上とコストの差が小さく、手元に残りにくい」こと。結果として、ほぼタダ働きに近い状態になってしまうリスクも、現実的にあり得ます。これらは華やかに語られにくい部分ですが、開業前に正面から見ておくべきポイントだと思います。

ミニマム開業のトレンドはすぐに終わると思われる理由

今はトレンドのミニマム開業ですが、私個人としては、ミニマム独立に実際に踏み切る医師は今後は頭打ちになり、減っていくと思います。

というのは、実際に独立を検討する段階では、多くの先生が市場を調べ、他業界の仕組みを学んだりします。転職とも比較してリスクとベネフィットを検討するでしょう。その過程で、「これだけの手間とリスクを考えれば、非常勤を組み合わせたほうが合理的ではないか」という結論に至るケースが多いと思われます。たとえば訪問診療では、日給10万円といった高単価の仕事も珍しくなく、週5日勤務すれば週50万円、年間でおよそ2,500万円の収入になります。これはミニマム開業よりもリスクが圧倒的に低く、しかも安定した収入を確実に得られる働き方です。

もちろん給与所得ですので税金は差し引かれますが、それでもマイナスになることはありません。むしろ、経済的には勤務医としてのほうが分がいいと私は考えます。確かに今後、保険診療や勤務環境の変化は避けられないでしょうが、10年程度のスパンで見れば、十分に資産を築くことが可能です。

機会費用の問題 ― 戦略的な勤務医に振り切った場合

たとえば、40歳の先生を想定してみましょう。40歳から50歳までの10年間、仮に週5日・日給10万円の訪問診療を続けたとします。年間収入は約2,500万円。税金などで半分差し引かれても、年間1,250万円が手元に残ります。そのうち半分を積み立てに回せば、年間625万円、月にすればおよそ50万円の積立です。これを10年間続け、もし平均年利5%で運用できたとすれば、その後積立を中止しても、1億円に到達するのは時間の問題であり、十分に現実的な数字です。

このようにして資産を形成していけば、将来的には生活費をまかなうための労働を減らし、投資収益で暮らしていくことも可能になります。非常にドライな考え方ですが、リスクを最小限に抑えながら、着実に資産を増やしていくという点で、ミニマム開業よりもはるかに合理的な選択といえるでしょう。

一方で、同じ10年を独立・開業に費やした場合、状況によっては借金を背負い、資産がほとんど残らないというケースも十分に考えられます。途中で撤退せざるを得ず、ようやく返済を終えた頃には手元に何も残らない──そんな現実も珍しくありません。その間に勤務医として堅実に働いていれば得られたであろう収入や安定を考えると、その差は「機会費用」として非常に大きな損失になります。

この点を踏まえると、リスクを取ってまで独立する価値が本当にあるのか──この問いを冷静に見つめ直すことが、今の時代の医師にとってますます重要になってきているように思います。

10年後に残る「差」――取り返しのつかない機会費用

今度はたとえばこちらも、40歳で独立し、ミニマム開業という形で10年間運営してみたとします。結果として、なんとか借入金は返済でき、生活もどうにか維持できた。けれども資産はほとんど残らず、手元にお金が残っていない――そういう状況は現実的に起こり得ると思います。この「プラスマイナスゼロ」に終わるということは、実は非常に重い意味を持っています。というのも、その10年間に本来、勤務医として堅実に働いていれば、上記の例のように、少なくとも数千万円、場合によっては1億円近い差が生じている可能性があるからです。

しかも、労力という観点からすれば、トータルでみて開業医のほうが大変だったということも多いでしょう。目に見える診療業務だけでなく、実働時間の多くが経営や事務、各種調整といった雑務に取られるため、総労働時間で見れば勤務医よりも長いということも珍しくありません。つまり、より多くの労力とリスクを背負いながら、結果的に手元に残るお金は少ない。50歳の時点での資産差はすでに取り返しのつかないほど大きくなっていることも現実的に想定されます。

たとえそこから「もう一度頑張ろう」と再出発しても、時間の経過は埋められません。これこそが独立の「機会費用」として最も大きい部分だと思います。本来であれば、別の選択をしていれば再現性高く得られたであろう成果や資産を、別の道を選んだために失ってしまう――それを現実的に意識しておく必要があります。これはよく、大学院進学などで「学費だけでなく、その間に働いて得られたはずの収入も損失として考えるべき」と言われるのと似ています。開業の場合もまさに同じで、表面上の支出だけでなく、「他で働けば得られたはずの収入」を含めた総合的な損得を考えなければなりません。

ミニマム開業とはいえども、リスクはゼロではなく、機会費用を考慮すると、むしろ取り返しのつかない差を生む可能性がある。この点を軽視してはいけないと私は考えています。

開業の博打性 ― 成功すれば大きいが、失敗の代償も大きい

開業というのは、大成功すれば非常に大きなリターンを得られる可能性があります。勤務医として働くよりも、うまく軌道に乗せられれば、経済的にも時間的にも自由度が高くなる。その「当たりの大きさ」が、独立を志す先生方にとっての最大の魅力であることは間違いありません。

ただし、その裏には「失敗したときの代償の大きさ」が常に潜んでいます。資金繰りの悪化や患者数の伸び悩みなど、予想外の要因で計画が崩れた場合、個人事業という性質上、その責任をすべて自分で負わなければなりません。結局のところ、開業とは、ある意味で“博打”に近い側面を持っているのだと思います。

もちろん、すべての開業が危険というわけではありません。しかし、今の日本の医療制度のもとで「新規開業を成功させる」というのは、20-30年前に比べて明らかにハードルが上がっています。かつてのように地域に空白があり、そこを埋めるだけで患者が自然と集まった時代とは違い、現在はどの地域もすでに医療供給が成熟し、競争環境も厳しくなっています。

さらに、保険診療の報酬体系も年々厳しくなっており、勤務医の給与も以前ほど伸びていません。つまり、全体として医師の経済的優位性が少しずつ薄れてきている中で、独立開業に踏み切るというのは、どうしてもリスクの比重が重くなる傾向があります。

一方で、勤務医として働くことの最大の強みは「大事故を起こしにくい」という点です。経営的な失敗や制度変更による打撃を直接受けることが少なく、生活が急激に困窮するようなリスクは基本的に考えにくい。もちろん勤務にも制約やストレスはありますが、少なくとも経済的破綻という形で人生が大きく崩れることはまずありません。

つまり開業は「大きく当たればたしかに大きいが、小さく外しても非常に痛い」、「ある程度成功して、やっと勤務医と、どっこいどっこい」という、まさに超ハイリスクの世界です。どちらを選ぶかは、その先生がどの程度のリスクを取れるか、どこまでの覚悟を持っているかにかかっているのだと思います。

勤務にもリスクはあるが、独立とは質が異なる

もちろん、勤務医として働くことにもリスクはあります。体調を崩して長期間働けなくなった場合や、勤務先の経営方針の転換によって職場環境が大きく変わることもあります。特に、非常勤勤務を中心に収入を得ている場合は、病気や怪我で働けなくなった瞬間に収入が途絶えるというリスクを抱えている点は否定できません。しかし健康リスクについてはもちろん開業した場合と共通のリスクといえるでしょう。

ただし、勤務医と開業医ではリスクの「性質」が異なります。勤務医の場合は、雇用されている立場ゆえに、一定の社会的セーフティーネットに守られている部分があります。たとえば、収入が減っても突然借金を背負うようなことは基本的にありませんし、病院側の経営の失敗によって先生ご自身の生活が破綻するようなリスクはまずない。一方で、開業医の場合は、制度の変更や経営環境の変化がすぐに自分の収益に直結します。たとえば診療報酬の改定ひとつでも、経営に直接影響する。勤務医であれば病院全体で吸収できるような変化でも、独立しているとそのまま自分の収入減に跳ね返ってきます。

また繰り返しになりますが、独立すると診療以外の仕事が非常に多くなります。経営管理、会計、労務、行政手続き、業者対応など、日常の診療と並行して進めなければならない業務が常に発生します。これらは直接的に医療行為とは関係がないにもかかわらず、かなりの時間とエネルギーを取られます。さらに、制度や社会情勢の変化にも大きく影響を受けます。たとえば診療報酬や補助金制度が変われば、すぐに利益構造が変わりますし、新しい法的手続きや届け出が必要になることも少なくありません。こうした環境変化に常にアンテナを張り、迅速に対応していかなければなりません。

そのため、診療を終えても気持ちが休まらない、常に何かに追われているような感覚になることも多いのです。たとえるなら勤務医で常にオンコールがある職場の感覚と似ています。

独立か勤務か ― フラットに見たときの現実

結局のところ、開業が本当に「良い選択」と言えるのかは、非常に難しい問題だと思います。独立には確かにメリットもあります。自分の裁量で診療方針を決められること、時間の使い方をある程度コントロールできること、そして自分の理想とする医療を形にできるという点は、勤務医では得がたい魅力です。

しかし一方で、デメリットも同じくらい、あるいはそれ以上に大きいのが現実です。経営や事務の負担、収入の不安定さ、制度変更への対応、そして精神的な重圧。これらを日々背負い続けることを考えると、果たしてそれが本当に“自由”と言えるのか、疑問に感じる場面もあります。

最終的には、「どちらを取るか」という話に尽きます。自由と責任、安定と制約。そのどちらに自分の重きを置くのかによって、最適な選択は変わってくるでしょう。重要なのは、どちらの道にも必ずメリットとリスクがあるという現実を、感情ではなくフラットな視点で見極めることだと思います。

ミニマム独立の経済性 ― 労力に対して見合わない現実

ミニマム独立という形で考えると、経済的な観点から見ても、現時点はあまり得策とは言えないのが正直なところです。むしろ、費用対効果という面では不利になる可能性が高いと思います。いままで述べてきたように、かかる労力や手間に対して、得られるリターンがどうしても見合わないのです。

以前の記事で「マイクロ法人」という戦略について触れたことがあります。数字の上ではたしかに有効に見える部分もありますが、実際の運用を考えると、医師の場合はむしろ手間のほうが増えてしまう。税金面などで得をしたとしても、それを上回る煩雑さと労力とコストが発生するのが現実です。結局、「こんなに面倒なら、普通に払ったほうがよほど楽だ」という結論に至る方がほとんどだと思います。

ミニマム開業もまさにそれと同じ構造です。いや、むしろそれ以上に大変かもしれません。リスクは確実に存在し、得られる利益は限られており、そのうえで発生する手間は非常に大きい。リスク、ベネフィット、コスト――その三つのバランスが、どう考えても釣り合っていない。これが、実際に経験してみて感じた私の率直な印象です。

ITの進化で開業しやすくなったように見えても、実際は煩雑さが増している

最近では、「リスクを抑えて小規模に開業する」というトレンドが確かに見られます。電子カルテやクラウド会計などのIT技術が発展したことで、私のようなミニマム開業の形態も少しずつ増えてきました。たしかに、昔に比べれば初期投資は抑えやすく、ひとりでも形にできる環境が整ってきているのは事実です。

しかし、これは一時的な流れであって、今後主流になるとは考えていません。先にも触れましたが、むしろすぐに頭打ちになり、いずれほぼ消滅するだろうと感じています。なぜなら、実際にやってみたドクターが必ず直面する現実が、今まで述べてきたような事柄であり、正直に言って、やる理由も、続ける理由も乏しいためです。

もちろん、趣味やライフワークとして「自分の診療所を持ちたい」「自分の理想の医療を実現したい」という強い動機がある場合は別です。しかし、生活の基盤を築く手段として考えるなら、正直なところ、リスクとベネフィットがまったく釣り合っていません。

冷静に経済性だけを考えるなら、たとえば週2日ほど高単価の非常勤勤務を組み合わせるほうが、よほど安定していて現実的です。実際、週2日でも十分に生活できますし、週3日働けば、むしろ開業医よりもゆとりのある暮らしを実現できるケースも多いと思います。それを独立してやろうとすると、週5日しっかり働いてもなかなか同じ水準には届かないうえ、事務作業や手続きに追われる時間が圧倒的に増えるのです。

結果として、労力に対して得られるものがどうしても見合わない。これが、IT時代のミニマム開業が抱える本質的な問題だと思います。

患者数が増えないと、事務負担とのバランスが取れない

もちろん、うまくいく先生もいらっしゃいます。患者さんを安定的に集め、予約制を導入して効率的に診療を回せるようになれば、勤務医よりも良い条件で働ける可能性もあります。たとえば、1日30人ほどをテンポよく診ていけば、経営としても十分成り立ち、経済的にも勤務医より成功するでしょう。

ただ、問題はそこまで患者数を増やせるかどうかです。たとえば、患者さんが1日10人程度に留まってしまうケースも少なくありません。その場合、収益は大きく落ち込みますが、実は事務負担はあまり変わらないんです。カルテ業務の負担はもちろん多少減りますが、社会保険の手続きや保健所への報告、経理・請求処理などの事務作業は、患者数が10人でも30人でもほとんど同じ量があります。

つまり、患者が少なくても事務仕事は減らない一方で、収益だけが減る。これがミニマム開業の構造的な厳しさです。診療時間以外の仕事が思いのほか多く、しかもその大部分は医療とは関係のない「経営者としての事務作業」になります。

うまく回せればミニマム開業は魅力的に見えますが、少しでも想定より患者数が少ないと、すぐに採算が悪化する。その不安定さこそが、ミニマム開業の最大のリスクだと感じます。

ミニマム開業はリスクは小さいが、得られるものも少ない

結論として、ミニマム開業やミニマム独立というのは、たしかに大きなリスクを避けられる手段ではあります。大きな借金を背負って致命的な失敗をする、いわゆる“開業の大事故”のような事態は、まず起こりにくいでしょう。そういう意味では「安全な独立」と言えるかもしれません。

しかし、その一方で、得られるものも決して多くはありません。ミニマム開業で大成功して大金を得る、いわゆる“当たり”を引くようなことは、ほぼ期待できないと思います。実際のところ、週5日間フルにミニマム診療所を運営して得られる手取りと、週3日ほど高単価の非常勤勤務を掛け持ちした場合の手取りを比べても、大きな差は出ない、むしろ低いケースも想定されます。そして労働とお金のコストパフォーマンスは明らかに悪い、心理的な負担も大きい。医師の給与所得が現状程度であっても、もはややる理由が見当たらない状況です。

非常勤の自由度と、開業の終わりなき忙しさ

非常勤勤務の場合は週3日ほどの勤務であっても十分に生活が成り立つことが多く、残りの週4日は比較的自由に使うことができます。診療が終わったあとや休日を家族と過ごしたり、趣味や勉強の時間に充てたりと、心身に余裕を持ちながら働けるのが大きな利点です。たとえば、週2回は保険診療で臨床能力を維持して、週に1日は自由診療で問診中心の業務などの負担の少ない仕事を選ぶこともできます。働き方を柔軟に調整できるのが非常勤の強みです。

実際のところ、非常勤勤務で気をつけることといえば、契約更新の少し前から転職市場をチェックして、「もし今の勤務先がなくなったら、次はここへ行こう」という選択肢を確保しておくくらいでしょう。それだけで、安定と自由のバランスが取れた働き方を維持できます。

一方で、開業医として独立した場合は、そうはいきません。常にやるべきことがあり、気を抜く時間がほとんどないです。診療以外にも、資金繰りや事務手続き、スタッフ対応、行政への届出、患者さんのフォローなど、細かな業務が絶えず発生します。意識が常に仕事に向いたままで、頭のスイッチを完全に切ることができないんです。

その結果、QOLはどうしても下がりがちになります。勤務医時代には感じなかった小さなストレスが積み重なり、気づけば心の余裕がなくなっている──そんな状態に陥る先生も少なくありません。

結論、「ミニマム開業」ですら、第一選択ではない

結局のところ、何を重視するかによって、選ぶべき働き方は変わります。収入を最大化したいのであれば、高単価の非常勤勤務を組み合わせる方が効率的ですし、安定を求めるなら、財務健全性が高く、条件の整った常勤勤務のほうが確実です。QOLを重視するなら、労働負荷の少ない職場を選ぶことや、非常勤を組み合わせて自分のペースで働くという方法も十分に現実的です。

その中で「開業」という選択肢は、正直いまの時代では入りにくいと感じます。ミニマム開業のような形態でも、何を目指すにしても第一選択にはならないと感じます。

開業が選択肢として成立するのは、「どうしても自分の診療所を持ちたい」といった、強い意志や明確な目的がある場合や、商売としてではなくライフワークとしてやりたい場合等、かなり限られた状況になるのではないかと考えています。