開業医の先生は、会計業務に関しては、事務さんや税理士さんにお願いして、ご自身で直接帳簿をつける先生はかなり少数派だと思います。私は税理士の先生にもお願いしていますが、日々の収益の帳簿記録や、何か備品を購入した際の仕訳も、全て自分で行っています。当院における会計業務について、ご紹介します。

日々の仕訳は全て自分で行う

私が契約している税理士さんは、日々の帳簿付けは行わないというスタンスなので、私が自分で行っています。もちろん確定申告や決算は代行してもらっていますし、なにか疑問点が生じればチャットですぐに質問できますが、基本日々の業務は自分で行います。しかしこれは慣れてしまえば、特に難しくないです。特に今のクラウド会計ソフトは自動学習や、データの取り込み機能も充実しており、一度設定すると、ほぼ流れ作業になります。むしろ資料を送って他の人にやってもらうよりも、自分でやったほうが早いと感じるくらいです。

私は会計ソフトはマネーフォワードを使用しています。使い勝手や、コストなど、総合的にみて満足しています。freeeも有名で、こちらも迷いましたが、現時点ではMFを使用しています。

日々の診療の仕訳は?


マネーフォワードには「仕訳辞書」という機能があるので、日々の診療の仕訳など、よく使うものは登録しています。具体的に仕訳辞書の画面を写真でお示しします。

日々の収入は電子カルテの日報ですぐに計算できますし、現金、キャッシュレスの内訳も自動精算機で締め作業を行うと、印刷できるので、機械的にこれらの数値を入力するだけです。時間としては30秒ほどで終わります。慣れると一瞬です。

備品購入や光熱費などの支払いは、自動仕訳を設定する

マネーフォワードにはクレジットカードや口座の情報を自動で収集する機能があるので、登録しておくと便利です。自動的に情報を収集してくれるので、入れ忘れると行った単純ミスもおこりません。また一度正しく仕訳を設定しておくと、2回目以降はほとんど自動で仕訳を行ってくれるので、間違いがないか確認するだけで済みます。非常に便利な世の中です。ITの発展がなければ、当院のような形態はとても成立しません。

Amazonの証憑自動取り込みは最強

さらにAmazonなどの特定のサイトでは、領収書までも自動で取り込んで登録してくれます。これで消耗品を買ったときも、いちいち領収書をダウンロードしてアップロードするという手間から解放されました。非常に便利です。デメリットは便利すぎて、Amazon以外で買い物をしなくなることです。

簿記3級の知識は必要

日々の会計業務を行うには、簿記3級の知識が必要です。簿記3級の知識は先生であれば、1ヶ月以内で簡単に習得できます。本でもいいですし、今はYouTubeもあります。クレアールという教材も評判がよいみたいです。私はYouTubeのふくしままさゆき先生の動画で勉強しました。一応簿記3級も受験して合格しました。

経営状況がわかる

日々の帳簿付けなどは、本来医者がやるべき仕事ではないかもしれませんが、上記のようなツールを使うと、かなり時間は短縮できますし、何より日々の収入、コストが明確に把握できます。経営をしっかり把握する意味でも、ご自身で会計業務を行うメリットは少なくないと思います。客観的な数字を常に把握できると、コストを削ったり、収益を増やすための戦略なども、危機感を持って考えられます。他の人にやってもらった結果の数字だけ読むのとは、実感としてだいぶ違うと思います。

税理士にもお願いしているのはなぜか?

私の他の記事のご覧になっている先生は、確定申告含めて、全て自分でやった方がコストを抑えられるのではないかとお考えの先生もみえると思います。正直私も開院当初はすべて自力で行う予定でした。しかし私はクリニックだけではなく、一人社長の法人も同時に設立していましたので、法人の会計までを自力で行うのは、さすがに負担が大きすぎると判断しました。法人をもたず、クリニックだけであれば、おそらく自力で全て行ったと思いますし、今後そのようにする可能性もあります。

現時点では、クリニック+マイクロ法人をまとめて面倒みてくれる税理士さんがいるので、コストパフォーマンスや正確性を考えて、お願いしています。わたしが依頼しているのは、リベ大税理士法人です。マイクロ法人にも詳しく、理解があるのでオススメです。しかしこちらに依頼する際は、先生も上記のようにある程度自力で仕訳ができるようになる必要があります。会計業務を丸投げにしたい先生には正直不向きです。