先生はクリニックでの処置や検査はどこまで先生ご自身が担当される予定でしょうか?
採血、検体採取などは看護師さんにお任せして、診療に集中される先生が多いと思いますが、私はそれらをすべて私自身で行っています。特に採血ができると結構メリットがあります。今回はクリニックでの検査についての記事です。
医者は採血経験が少ない?
多くの先生は研修医の時にベテランの看護師さんから教えて頂いたのではないかと思いますが、医師としてある程度になると、ご自身で採血をすることはほぼないと思います。末梢困難の際に病棟から動脈採血を頼まれて行うくらいでしょうか。
しかしクリニックでは動脈採血はほぼ行わず、ほとんどが肘窩からの静脈採血です。世の中の大部分の開業医の先生は、看護師さんに採血をお願いすると思いますが、当院では私が行っています。先生もクリニックがある程度安定してしまえば、看護師さんを雇ってお願いするほうが良いと思いますが、特に開院当初はご自身でもできた方が色々とメリットがあります。
最大のメリットは、風邪などで看護師さんが不在になったり、万が一急に退職してしまった場合などでも、先生ができれば特に問題なく業務を継続できる点です。完全に看護師さん任せにしていると、採血が出来なくなってしまうリスクがあります。もしもの時に備えて、先生も採血に慣れておくことに越したことはないです。
もし可能なら、教えてもらうのがオススメ
技術的には難しくないですが、何年も、場合によっては10年以上静脈採血をしていない先生もいらっしゃると思います。もし現在まだ病院にお勤めの場合は、事情を説明して再度教えてもらうことがおすすめです。
私も実際に、1週間ほどの短い期間ですが、事情を話して、外来、健診の採血を可能な限り担当させてもらいました。最初は看護師さんに教えてもらいながらです。数人やってみると案外すぐに思い出します。ここでの経験は開院後かなり役に立ちました。採血で使う備品も、開業したら自分で発注しなければならないので、もちろんチェックしました。コスト的にはアタッチメントと針が一体となっている方が安いのですが、採血のやりやすさから私は翼状針を使用しています。何人かの看護師さんや、臨床検査技師さんに教えてもらい、肘窩で難しい場合は手背に切り替えるなど、色々なやり方を吸収できたのは大きかったです。
看護師さんは始めからお願いするか
先生は開業時から看護師さんをスタッフとして迎える予定でしょうか?実は看護師さんの採用は、どこのクリニック、病院でも人手不足なので苦労しているようです。看護師さんは基本的に売り手市場です。おそらくこの流れはそう変わらないと思います。転職も盛んなので、入職してくれてもすぐ転職してしまうなど、なかなか苦労されている先生が多いようです。
私はそもそも事務スタッフも含めて、最初は完全に家族経営でしたが、当初看護師さんを雇う余裕は全くありませんでした。正直今でも雇えない状況ですが。。。そのため、現在でも採血や、インフルエンザ等の検体採取もすべて私が行っています。いずれは看護師さんにお願いできるような体制が理想ですが、もう何年もこの体制で行っていると、最近はこれはこれでありなのかと思い始めています。検査の時間はたしかに私が他の業務は出来ませんが、患者さんからみれば、処置室に移る手間やタイムラグもなく、診療とシームレスに繋げられるので、結果的に患者さんの在院時間が短縮できています。小さい開業医においては、この形態は一つの解なのかなと思います。