電子カルテは紙カルテに比べると圧倒的に記載の手間が減り、現代クリニックには必須のツールであると思います。手間を更に削減するには、ソフトウェア、ハードウェア両面から、電子カルテ入力の補助ツールを使用することが重要です。今回は私が実際に使用している時短ツールについてご紹介していきます。
今回はソフトウェア編で、Google日本語入力、cliborをご紹介します。

Google日本語入力

カルテの入力には、デフォルトのものではなく、Google日本語入力がおすすめです。固有名詞にも強く、後述する方法で、医学用語、薬の名前の辞書をインストールすると、更に使いやすくなります。また先生がよく使う単語を「短縮読み」で登録しておくと便利です。Cliborとのコラボでカルテ記載時間はかなり短縮できます。

あらかじめ医学用語、薬の情報をインストール

医学用語については、既に先人が作ってくれた辞書が公開されているのでこちらを使用させてもらいましょう。DMiMEという、サイトからダウンロードし、Google日本語入力にインストールすると使用できます。導入方法も詳しく解説されています。

薬についての辞書もこちらのサイトで公開されています。これほどのものを作成された方には本当に頭が下がります。
これらを一度インストールすると、カルテ入力が本当に楽になります。

「短縮読み」

先生がよく使う項目は、「短縮読み」であらかじめ登録しておきましょう。
たとえば「呼吸音 ラ音なし 喘鳴なし」という項目を、短縮読みで「こ」と入力しただけで変換候補がでるように設定できます。これは最初に一気に作り込むよりも、使いながら徐々に増やしていって、あまり使わないものは、逆に意図しない変換で時間を取られることもあるので、思い切って消して適宜調整していくのがポイントです。

私が登録している一例では、
「し」→「心音 整 雑音なし」
「じぇ」→「general good」
「ふ」→「腹部 平坦、軟、圧痛なし、筋性防御なし、反張痛なし」
「あ」→「薬剤アレルギー:なし」

などがあります。もちろん電子カルテのセットも併用していますが、一文字で変換できるこのツールはかなり有用です。

出にくい単語も登録

たまにしか使わない単語でなかなか出てこない単語も、その都度登録がよいです。「掻爬痕」、「趾」、「虫刺症」などはなかなか出てこないので、私は登録しています。

Clibor

Cliborは入力補助のツールで、windows,mac両方で使える非常に優れたツールです。こちらにも文章の登録ができて、検索もできるので、Google日本語入力の短縮読みほど、使用頻度が高くないものとりあえず登録しておくことができます。

ワードパレットのように見ながら入力したい文章を選択可能で、フォルダ分けも出来るので、作り込んでいる先生は、カルテ入力は定型文を選択し、体裁を整えるだけで、完成させることも可能です。Cliborの方では、少し長めの文章で登録したいときがオススメです。Google日本語入力といい感じで棲み分けをしています。

Cliborの最大のメリットは、その日の日付を含めたカルテ記載の文言を登録できることです。カルテを入力した日付をわざわざ記入する手間がなく、Cliborから引用するだけで済んでしまいます。
たとえば、血液検査をした際のカルテ記載として、
「20〇〇年〇月〇日(△曜日)、血液検査で確認。結果で内服薬を調整していく。」

というような記載も、引用すると一瞬で、その日の日付を入れて記載することができます。

また私がよく使うのは、COVID-19の検査を2回した場合で、

#症状詳記
「令和〇年〇〇月〇〇日、発熱にて受診。新型コロナウイルス感染症を疑い、抗原検査を行うも陰性。その後も発熱が継続し、咽頭痛、咳嗽も増悪したため、令和〇年〇〇月〇〇日、再診。
状況から、新型コロナウイルス感染症を強く疑うため、再検査での評価が必要と判断し施行した。」

という文章を登録しています。この文書を使うのは再診の日付なので、再診の日付はそのままで、初診の日付だけ調整して、症状を患者さんの状況に合わせて記載すれば、症状詳記の文書も一瞬でできあがります。これはかなり時短になるのでオススメです。電子カルテのセットでも日付引用はできないので、重宝しています。