開業をお考えの先生の場合、家族が開業に賛成か反対かであるかで、仕事のやりやすさだったり、精神面での負担がかなり異なります。今回は開業時における、家族との関係性について考えていこうと思います。
開業には大きな変化が伴う
開業には仕事、お金、家庭生活をはじめとして、先生に関わるあらゆるものに変化が伴います。開業を考慮される年代の先生は、ご家族がみえる先生や、お子さんにお金がかかる時期の先生も少なくないと思います。現在の開業には正直かなりのリスクを伴います。今の生活に特に問題や不満がない場合、ご家族が反対されるケースも少なくないのではないかと思います。現状のままであれば、少なくとも生活に困ったり、借金を背負ったり、最悪の場合、生活が破綻するようなことは無いためです。人間は基本的に変化を嫌うものです。わざわざ大きなリスクを背負ってまで、先生がチャレンジすることを全面的に応援してくれるケースの方が実は少ないのかもしれません。
家族に反対されている場合は、かなりつらい
ご家族がいらっしゃる先生で、反対されている場合や、開業に賛成してもらえない場合、先生はかなり辛い戦いを強いられると思って下さい。納得させるには大成功する他ないと思われます。開業しても勤務医のときと生活が変わらなければ、リスクを背負った割に、得られるものが少ないと思われても仕方有りません。それは先生にとってもそうではないでしょうか?。借金や大きな社会的リスクを背負っても、勤務医のときと収入があまり変わらないのであれば、それはただリスクを背負っただけになってしまいます。
実は勤務医は労働者でもあるので、かなり多くの権利や法律によって、強力に保護されています。急にクビになることもなく、病気になっても傷病手当など手厚い保障があります。しかし開業医になり、経営者になると、途端にいままで当たり前であったものがなくなります。病気で倒れても、社会的保障もなく、誰も助けてくれません。非常に厳しいです。世の中全体が労働者を大事にしているのか、自営業者を冷遇しているのかはわかりませんが、かなり大変だということです。
何を言っても、結局お金が一番つらい
正直、結局のところ、開業医で一番つらいのは、お金です。お金があれば大半の悩みは解決できます。身も蓋もない事かもしれませんが、それが現実です。そもそもお金が十分あれば、開業などせず遊んで暮らせばいいのです。もしくは医者を続けたければ、週一だけ他の現場で外来の非常勤の仕事をしたり、採算があわなくても、負担にならない程度に開業医を続けてもいいわけです。それができないからこそ、お金を稼ぐために、シャカリキになって働かなければならない、、、それがつらいのです。
毎月というか毎日、収入と支出とのにらめっこが続きます。私は固定費が年間いくらかかるか、スプレッドシートにすべて書き出して、年間診療日数から、一日あたりの負担額を常に見れるようにしています。患者さんがあまりみえない日は、固定費すら賄えない日もあります。正直かなりメンタルを削られます。これは開業当初の話ではなく、開業して数年たった今現在のお話です。
正直、独身である内に開業した方が負担は少ない
もし先生が独身であれば、開業後に金銭的につらい時期があっても、生活費を削減して、週に1回他の医療機関でアルバイトをすれば、食っていけないことはないと思います。特にミニマム形態の開業であれば、生活が破綻するようなことは考えにくく、先生の生活を切り詰めれば乗り切れると思います。また最悪、多少の借金を背負って、撤退することになっても、非常勤の高単価な仕事をかけ合わせれば、数年で返済できると思います。
しかしご家族がいるとそうは行きません。家族の生活費は毎月なんとかして用意しなければなりません。医師の家庭は普通に生活するだけでも相当なコストがかかるかと思います。家族に生活費を縮小してくれと頼むのは、開業に反対されていないケースでも難しいでしょう。本当に胃が痛む、つらい時期というのは、いまは成功して安定してる開業医の先生でも経験があるのではないかと思います。
まとめ
しかしながら、現実問題としては、家族を養いつつ、開業をされる先生が大多数だと思います。正直に申し上げて、家族に反対されている場合は、開業することを再度考え直すのも、ひとつの考え方だと思います。家族が開業に肯定的であっても、それでも開業はかなり大変です。家庭内に味方がいない状況では、さらに困難になります。
今は開業以外にも、先生の人生の目標や夢を達成する手段はあると思います。転職もその一つの手段です。開業は手段の一つに過ぎません。開業を一度考えて、動き始めたからといって、どうか開業を目的としないで頂きたいと思います。