医療機関におけるFAXをどうするか、という問題があります。私は開業当初、固定電話の準備が間に合わなかったこともあり、FAXについてはインターネットFAXを導入しました。当時はまだFAXでやり取りする業務もそれなりに残っており、特に開院当初は、新型コロナウイルス関連のPCR検査結果をFAXで緊急にやり取りすることなどもあったため、比較的よく使っていました。しかし、その後はFAXを使う機会がほとんどなくなり、最終的にはインターネットFAXも解約して、現在はFAX自体を使っていません。今回は、クリニックにFAXは本当に必要なのか、実際にインターネットFAXを使い、その後やめてみた経験から考えてみたいと思います。
従来型FAXとインターネットFAX
FAXというと、従来は固定回線にFAX機を接続し、紙で送受信する方法が一般的だったと思います。ただ、この方法では、クリニックにいなければFAXが届いたことに気づけず、内容も確認できません。診療時間外や休診日にFAXが届いた場合には、次にクリニックへ行くまで確認できないという不便さがあります。
一方、現在はインターネットFAXという選択肢があります。通常のFAXと同じようにFAX番号を取得できますが、受信したFAXはPDFなどの形でメールに届きます。また、こちらから送信する場合にも、書類をPDF化してパソコンから送信することができます。特に、FAXが届いたかどうかをリアルタイムで把握したい場合には便利で、私自身もFAXをある程度使用していた時期にはかなり重宝していました。
医療機関でもFAXを使う機会は減ってきた
しかし、その後はFAXそのものを使う機会がかなり減ってきました。行政関係の手続きでも電子申請が増え、紙で書類をやり取りする機会は以前より明らかに少なくなっています。医療機関同士の情報共有についても、少しずつ電子化が進んでいるように感じます。
もちろん、現在でもFAXが残っている場面はあります。救急対応に関する書類や診療情報など、病院同士のやり取りでFAXを使用するケースはありますし、地域や医療機関によって事情はかなり異なると思います。ただ、少なくとも私のクリニックではFAXを使う場面は年々減っていきました。個人的には、FAXは今後さらに電子メールや電子申請、その他のオンラインでの情報共有に置き換わっていくのではないかと感じています。
年に数回のFAXに年間約2万円を払うか
私は開業後しばらくインターネットFAXを契約していましたが、次第に使用頻度が非常に少なくなり、最終的には年に数回程度しか使わなくなっていました。一方で、営業目的のFAXはかなり届きます。広告や営業案内など、実務とは関係のないFAXが定期的に届くため、それを確認すること自体が少し煩わしく感じるようになっていました。
さらに、インターネットFAXの利用料金も年間でおよそ2万円程度かかっていました。大きな金額ではありませんが、年に数回しか利用しないサービスに毎年2万円を払い続ける必要があるのかと考えると、少し疑問が出てきます。そんな中、昨今のさまざまなサービスの値上げと同様に、利用していたインターネットFAXについても料金改定の案内がありました。そこで、ちょうどよい機会だと考えて契約を終了することにしました。現在、当院ではインターネットFAXを含め、FAXの送信・受信はどちらもできない状態です。
実際にFAXをやめて困ったか
FAXをやめてみると、今のところ実務上ほとんど困っていません。もともと当院からFAXを送信する機会はほとんどありませんでしたし、受信についても必要なFAXより営業FAXの方が目につくような状況でした。そのため、契約を終了したことで広告FAXが届かなくなり、むしろ余計な確認作業が減って、ストレスも少し減ったように感じています。
もちろん、これは診療内容や地域によって大きく異なると思います。紹介先の病院や地域の医療機関とのやり取りでFAXを頻繁に使用するクリニックであれば、現在でも必要性は高いでしょう。ただ、「医療機関なのだから、とりあえずFAXは必要だろう」という理由だけで契約を続ける必要があるのかは、一度考えてみてもよいのではないかと思います。
新規開業時にFAXは必須なのか
これから新規開業する先生にとっても、FAXを最初から必ず用意しなければならないかというと、以前ほど必須ではなくなってきているのではないかと感じています。もちろん、FAXがあって困ることはありませんし、インターネットFAXであれば物理的なFAX機も必要なく、院外から内容を確認できるため、導入するのであれば従来型FAXより使いやすいと思います。
一方で、地域の医療機関や行政とのやり取りで、実際にどの程度FAXを使用するのかを確認してから導入しても遅くないかもしれません。以前は医療機関のインフラとして固定電話とFAXを用意することが当然だったと思いますが、医療機関の業務も少しずつ電子化されています。私自身は、開業時には必要だったインターネットFAXを数年間使用した後、使用頻度の低下に合わせて解約しました。そして現在のところ、FAXがなくても特に困ることなく診療を続けています。
新規開業時には、「医療機関だからFAXを置く」という前提ではなく、自院の診療スタイルや地域の医療機関との連携方法を見たうえで、検討してみてもよいのではないかと思います。
