現在はクリニックのほとんどが自前のホームページをお持ちであると思います。ホームページは専門の業者さんに依頼することもできますが、ややコストがかかります。パソコンを使える先生であれば、少し勉強すればホームページをご自身でつくることは比較的簡単です。記載した方がよいと思われるポイントなども含めて、今回はホームページについてお伝えしていこうと思います。
ホームページは自作も現実的
ミニマム開業で、コストを抑えたい先生は、ご自身でホームページを作成することはおすすめです。何よりもコストが抑えられますし、更新する場合もその都度業者に依頼する必要はなく、ご自身で簡単に行うことができます。初期の導入が面倒ですが、普通に電子カルテを使ったり、ネットで検索することができれば、現実的に可能です。プログラミングなどの、専門的な知識も不要です。先生の時間とのコストパフォーマンスの兼ね合いで決めることになるかと思いますが、私個人としては、ホームページをつくるための勉強時間は、投資する価値があると考えています。
業者さんに依頼した場合は、初期費用で30-50万円、その後月額5000円-10000円ほどで、業者によって幅がありますが、クリニック向けの場合、もっと高額な業者もあり、結構なコストになります。自作した場合、私のケースでは、ホームページのテンプレートが25000円ほどで、月額は500円程です。圧倒的にコストが抑えられます。
一度作成してしまうと、後の更新は休診日のお知らせくらいですが、いつでも自分でリアルタイムで更新できるので、ストレスがありません。
具体的な方法は色々あると思いますが、私はワードプレスを使用しています。サーバーは現在であれば、エックスサーバーがよいかと思います。ちなみにこちらのサイトはエックスサーバーを使用しており、使いやすいです。エックスサーバーでも月額は1000円ほどで維持が可能で、他の費用は特にかかりません。
テンプレートはフリーのものでも良いですが、クリニック向けのワードプレス用のテーマがいくつか販売されているので、こちらの初期投資は価値があると思います。わたしはCUREというテーマを使用しています。デザインは気に入っているのですが、操作にややコツがあり、使い慣れるのが大変で最初は苦労しました。こちらは先生の好みでよいと思います。
ホームページにのせる写真は、著作権フリーで使えるものが検索するといくらでもでてくるので、ありがたく使用させて頂いています。ひとまずはフリー素材で埋めておき、後で先生がクリニックで撮影した写真に差し替えていくようなことで良いと思います。ひとまず体裁を整えるのが、ファーストステップです。細かい修正はあとでいくらでも出来ます。
ホームページはシンプルに
私のクリニックは特に大きな検査機器やセールスポイントがないので、見やすさを重視し、あまり作り込まずシンプルなものにしています。予約制なので、予約のページへの導線は見やすくしていますが、一般的に最初にでてくる挨拶などのくだりは、誰もさほど興味がないと思われるため、後ろの方に表示しています。経歴なども個人情報の問題があるので、詳しくは載せず(詳細に載せるのは結構リスクが高いと思います、患者さんだけでなく先生を狙うような業者もみられるので)卒業大学、所属学会、保有資格を簡単に書くことにとどめています。
できること、できないことは明確に表示
予約ページの案内では、当院で出来ること、出来ないことをはっきりと明示するようにしています。たとえば健診で胸部レントゲン要精査の方がみえても、当院にはCTはおろかレントゲンもないので、対応が出来ないためです。それなら始めからCTを有する大きめの開業医さんに受診した方が患者さんも時間を無駄にしなくて済みます。
もちろん最初からやっていたわけではありません。どうしても開院当初は当院で対応できることと、患者さんが求めることのミスマッチが起きてしまい、時にトラブルになることもありました。そのため最初から出来ることを明示したうえで、それでも当院を選んで来てくれる患者さんを対応した方が、結果的に私も患者さんもストレスが少ないのではないかと考えるようになりました。
しかし王道のやり方ではないと思います。来院される患者さんを予約の段階から絞ることになるので、おそらく少なくない機会損失をしていることは、自覚しています。しかしそのおかげか、この対策を行ってから患者さんからのトラブルは激減しました。元々出来ること、出来ないことを理解した上で納得して通ってくれる患者さんばかりだからです。また一度当院に受診し、当院のスタイルを気に入ってくれた患者さんはリピーターになってくれています。メリット、デメリットはありますが、ひとつのやり方として参考にして頂ければ幸いです。
SNSはよくわからない。。。
今はSNSが全盛の時代なので、得意な先生は色々なツールを駆使して集患を行っているようです。特に美容医療業界などは、入職の段階でSNS運用が条件の一つとなっていたりします。わたしはクリニックの運営にはSNSは用いていません。そもそも私が詳しくないので、よくわからないということもありますが、SNSで見つけて、わざわざ遠くの患者さんがみえるようなクリニックではないからです。当院はあまり特徴がない町医者なので、基本的に近所の人しか来ません。
もし特殊な日帰り手術や、珍しい治療を行う、何かに特化したクリニックであれば、SNSを含めて、ネット集患に力を入れる価値はあると思います。日本で数か所しか受けられない治療や、そこでしか受けられない検査などであれば、遠方からでも患者さんはいらっしゃるためです。
実際私は、鼻中隔の日帰り手術をした経験がありますが、かなり遠方にもかかわらず、新幹線に乗って、手術を受けに行きました。見つけたきっかけはもちろんネットです。今ではそこまで珍しくありませんが、当時は鼻中隔の日帰り手術を積極的に行っているクリニックは珍しかったのです。(全く関係ない話ですが、鼻中隔弯曲症で鼻の通りが良くない先生は、鼻中隔の手術はおすすめです。術後は痛みはあるものの、QOLが非常に上がります。)