今回は日々の会計業務をご自身で行う先生向けの記事です。

税理士事務所もいろいろなスタイルがでてきており、全て丸投げしてやってくれるような事務所もある一方で、最近は日々の仕訳は基本的にご自身でやって頂き、年末の確定申告や、不明点があったときだけ対応するようなところもでてきています。

それには会計ソフトがクラウドとなり、Amazon、銀行口座、クレジットカードとの連携ができるようになり、かなりやりやすい環境が整ってきていることもあると思います。

今回はその中でも「事業主借」を上手に使うと、日々の業務が簡単になりやすいという内容です。

※私が使用する会計ソフトはマネーフォワードです。

私の当初の方法は?

クレジットカードや銀行口座は一度連携して、仕訳の設定をすればあとはチェックだけでやることがなく簡単ですが、最初、ややまわりくどい方法を取っていたのが、通販を利用したときの会計業務でした。

Amazonで買い物をすると、自動連携、自動証憑取得により、領収書まで自動で登録してくれます。借方はだいたい、消耗品費でOKで、一部書籍を新聞図書費に変えるくらいの操作ですが、問題は貸方でした。

当初私は貸方は普通預金になるように、仕訳設定をしていました。そのため、なにか買うたびに、普通預金の帳尻を合わせる必要がありました。私は住信SBIネット銀行の口座をいくつか使用していおり、同銀行同士では振込手数料もかからないもので重宝していましたが、逆にこれを利用することで、面倒になっている面もありました。

しかもAmazonの場合、ポイントを使うことやクーポンを使うことで、実際の金額と微妙に差異が生じます。これが結構面倒に思っていました。

事業主借を使えば?

そんなときにふと、事業主借を使えば一気に問題が解決することを思いつきました。個人事業主にとって事業主借と事業主貸は便利な勘定科目です。なんとこれに気がつくことに、私は2年以上かかってしまいました。。。

会計ソフトの連携も絞る

また会計ソフトに連携する銀行口座も絞ることにしました。最初は勝手がわからず、必要がない予備資金の管理口座等も、連携させていましたが、クリニック運営に必須のものだけにしました。

会計ソフトは便利なのですが、連携している銀行口座同士で資金移動をするときに、若干処理が面倒なのです。振替の処理や、間違えると後で残高が一致せずに、余計なストレスを抱える原因にもなります。慣れたら会計ソフトの連携は最小限に、そもそもクリニックで使う銀行口座、カードは最小限に絞るほうが、管理しやすくミスも出にくいのでおすすめです。

実務

実際のところをご紹介します。

私がAmazonで買い物をすると、たとえば以下の情報が会計ソフトで自動取得されます。

こちらのように、貸方については、とりあえず、事業主借としてしまう方が便利です。こちらは自動的にそのようになる設定が可能です。なので実務上はワンクリックで済んでしまいます。

そしてこちらの支払いは、マネーフォワードに連携していない、ご自身の銀行口座、クレジットカードで支払うことがポイントです。なぜならマネーフォワードに連携しているものだと、もう一つの仕訳の手間が増えてしまうためです。

もしクリニック口座から、使った分を個人のお金に戻したければ、その場合は、使った分を、事業主貸とすればOKです。まとめてざっくり移動させてもいいので気がラクです。こちらは個人にお金を移動させるだけなので、証憑なども当然不要です。

個人事業主の事業主借、事業主貸は便利

個人事業主の場合は、事業主借は、つまりはオーナー(先生)ご自身からお金を借りるという扱いですが、あまり気にせず使えます。年末の最後に、事業主貸と最終的に相殺して処理するので、個人事業主の間は便利に使えます。

ちなみに医療法人になると、法人と個人は全く別人格として扱われるので、慎重に扱わなければなりません。法人の場合も役員借入金で処理することはできますが、法人側が先生に借金をしている形式になるので、必ず後で同額を戻す必要があります。また少し今回のテーマとズレますが、法人から先生個人にお金を貸す場合は、先生がオーナーであったとしても、かなりややこしい処理が必要になるので注意です。法人に内部保留したお金は意外にも自由にならないという不便さがあるようです。

まとめ

今回はちょっとしたコツでしたが、私はこれに気づくのにだいぶ遠回りをして、それまで結構面倒なことをしていました。独学の盲点はこういうところだと思います。今回の記事が会計業務をご自身でされる先生の何らかの参考になれば幸いです。