各県に存在する保険医協会は、開業医にとって頼りになる存在です。こちらは民間の会員制の組織で月会費がかかりますが、保険診療を行うクリニックであれば、多くの先生に入会する価値があるかと思います。保険診療の点数全般的なことから、労務、税務、法律など、開業医にかかわる多くの疑問に相談に乗ってくれます。各県に存在する組織なので、ローカルルールにも精通しています。
今回は保険医協会についてご紹介していきます。(当記事に利益相反はありません。)
保険医協会について
保険医協会は主に開業医の先生向けの団体です。保険診療に関わることを中心に、開業医に関わる全般的な質問や相談に対応してくれます。スタッフの雇用に関わる労働法に関することや、税金にかかわることなど、かなり幅広く対応してもらえます。税金や法律など、かなり突っ込んだ複雑な内容になる際は専門家を紹介してくれることもありますが、軽めの内容であれば、保険医協会の職員から専門家に聞いていただいて、回答をもらえることが多いです。
また診療報酬改定や、行政からの補助についても、何かあれば適宜案内をしてもらえます。これらの情報をすべて自力でアンテナを張るのは結構難しいと思いますので、情報を得るソースとしてもオススメです。
また医師会のように、何か業務のデューティーは生じないので、安心です。
新規個別指導対策
保険医協会で、多くの先生が最も頼りにするシーンは、新規個別指導対策だと思います。これは開院してから1年ほどですべての医療機関に実施されるものです。私も実際にかなり入念に対策をしてもらいました。
新規個別指導では指導の一週間ほど前に、チェックされるカルテが指定されます。それらをすべて印刷し、事務の方と、保険医協会の運営に関わっている開業医の先生にみて頂き、すべて入念にチェックしていただきました。事前に指摘される内容を教えて頂き、模擬質問などもして頂き、カルテの不要な部分はカットするなど、対策を万全にしたことで、無事に乗り切ることができました。提出物や掲示物も含めてチェックしていただきましたが、正直全て一人で行うのは難しかったと思います。
私は事前にカルテの書き方など、開業前に独自に勉強していましたが、特定疾患や生活習慣病に関することなどは、個別指導にかかわらず普段からのカルテ記載が重要になるので、最初に教えてもらうのも良いかと思います。
保険医協会に入会したらまず使える補助金について質問する
県や市での医療機関に関する補助金については、基本的に行政から案内がありますが、それは開院後に新たに導入されたものだけです。開院前からすでに出ているものについては、こちらで気づくしか無く、基本的に誰も教えてくれません。そんなときに最も頼りになるのは、保険医協会です。こちらは今使える補助金の情報にも通じているので、取りこぼしがないように、開院したらまず最初に教えてもらいましょう。
実は私はだいぶ後になって、COVID-19絡みの補助を見落としていたことに気が付きました。100万円単位の補助金の見落としで、かなり痛い思いをしました。そのような経緯もあり、新規開業の先生には、見落とし無く開院のスタートを切って欲しいと考えています。
会費分の価値はあると思います。
会費は都道府県によって若干異なりますが、5000〜7000円前後の月額のようです。開業規模によっては安くはない金額かもしれませんが、保険診療全般の質問が出来ること、クリニック運営にかかわる質問も回数制限なく可能なことを考えると、会費分の価値はあると思います。特に最初の数年だけでも入会がおすすめです。開院当初は疑問点が多く出てきますし、新規個別指導を一人で乗りきろうとすることは、結構リスクが高いことだと思います。
保険医協会のデメリット
敢えて挙げるとすれば、郵送物が多いことでしょうか。私個人としては情報は、紙ではなく、メールやPDFで頂きたいのですが今のところは、紙ベースのようです。これは今後の改善に期待しているところです。
話が逸れますが、開業すると、知らない会社からダイレクトメールが多く届きます。たまに行政から重要な手紙も届くので、仕分けが結構面倒です。捨てる手間もありますし、私は紙ベースでの書類保存が、場所をとることや、検索性に難があることから、好きでないので結構なストレスになります。